石垣市健康福祉センター(石垣市登野城)で9月12日、「平成24年度石垣市認知症予防市民講演会」が開催された。
主催は石垣市。認知症を正しく理解して予防や早期発見につなげるとともに、認知症患者や家族を支援する市民を増やし、認知症になっても安心して暮らせる町づくりを目指すのが目的。
中山義隆市長は「現在石垣市には1200人以上の認知症患者がいる。患者や家族が安心して暮らせるよう、市でもいろいろな取り組みを行っている。皆さんにも認知症の理解を深めていただき、安心して暮らせる石垣島を共に目指していきたい」とあいさつ。宮崎県国富町けいめい記念病院の岡原一徳副院長が「認知症予防市民講演会~脳と心の若返り~」と題して講演を行った。
講演の中で、岡原医師は認知症の概要や治療の流れなどを説明した上で、認知症の過半数を占めるアルツハイマー型認知症と予防可能な脳血管性認知症について詳しく紹介。「認知症は早めの治療により進行を遅らせることが可能であり、早期発見早期治療が大切」と述べ、認知症による進行や症状、家族の対処や認知症との向き合い方など、事例を挙げて解説した。その上で「最も重要なことは薬による治療に頼るのではなく、より良い生活をすること」と強調。若いころから食生活の改善や運動で生活習慣病を予防すること、生きがいを見つけて楽しむこと、家族の認識の重要性などを説いた。
質問コーナーでは、「介護する中で世代間の認識のずれがある場合はどうすればよいか」などの質問が寄せられ、「その人にとっての生きがいを作ることが大切。高齢者には遊ぶことが罪のように感じる方もいるので、仕事をさせたり地域の中で何か役割を持たせたりすることが重要」と話した。
会場には立ち見が出るほどの多くの市民が詰め掛け、岡原医師の話に熱心にメモを取る姿などが見られた。平均年齢80歳のお年寄りグループ「やしま会」による踊りも披露され、客席から大きな拍手を受けていた。