石垣で10月23日、辻環境文化研究所所長の辻維周さんによる「ストップ!! ザ・ロードキル」についての講演が開かれ、八重山自動車学校の職員、教官15人が参加した。
石垣で一つしかない自動車学校で、教官が教習生に制限速度を守った運転を呼び掛けることで野生動物をひかないよう注意を促すのが狙い。
石垣では、天然記念物であるカンムリワシやセマルハコガメ、キシノウエトカゲをはじめ、八重山固有種や希少種などの鳥類、爬虫(はちゅう)類などが車にひかれ、昨年は382件の事故死が確認されている。今年はすでに592件の事故が起きており、危機感を訴える同研究所は、安全運転啓発活動の一環で市民や観光客に「ストップ! ザ・ロードキル(守ろう!小さな命)」キャンペーンを実施している。
辻さんは「道路でひかれた生物の死骸を目当てに、カンムリワシをはじめとする野生動物が道路にやってきて、これもひかれてしまうケースが多く、カンムリワシやキシノウエトカゲなどは今や絶滅寸前となっている。ひかれた生物を除去し、水で道路を洗う作業を毎日2回、6時間、100キロメートル以上走って行うことによって、カンムリワシの交通事故は減少傾向にある」という。しかし石垣島では運転マナーの悪い人を多く見かけ「追い越し禁止道路を家族連れのワゴン車が猛スピードで抜かしていくのが現状」という。
「カンムリワシは幼鳥時の2~3月に事故に遭うケースが多く、より注意をしてほしい。道路で死んだ生物を見つけたら、トングのようなもので道路外に移動してもらえれば助かる。まだ生きている鳥類を保護した時には、野生動物救護ドクターに指定されている平田家畜病院か、たまよせ動物病院まで搬送してほしい。無料で治療してもらえる」と話した。
最後に「夫婦2人だけで活動しているが、少しずつ賛同者が現れている。これ以上殺伐の島にしたくない。いいアイデアがあったら教えてほしい」と訴えた。
講演を終えて当山盛雄校長は「日頃教習で踏み込んで教習していなかった話で反省している。自然が失われて初めて気づいたのでは遅い。野生動物を守る意識が増えればわれわれ人間の交通事故も減るはず。より良い交通社会を築いていきたい」と感謝のあいさつを述べた。