石垣・名蔵湾で3月30日、「名蔵海岸の生き物観察会」が行われた。主催はアンパルの自然を守る会。
沖縄では旧暦3月3日(今年は4月12日)に女性が海で身を清める伝統行事「浜下(う)り」が行われるが、それに合わせて潮位が最も低くなる日を選んでの観察会。従来はラムサール条約に湿地登録された干潟やマングローブ林の観察をすることが多かったが、干潮に合わせて沖合約300メートル、リーフ際まで歩く観察会となった。
参加者約40人はスコップとバケツを持って足首まで潮が引いた砂浜を歩き、生物が見つかると講師の谷崎樹生さん、廣川潤さんに報告、解説が行われた。
「ミナミコメツキガニ」「ソデカラッパ」「コモンガニ」「ツノメガニ」などカニの仲間が見つかると、谷崎さんは多くのカニが登場する八重山民謡「あんぱるぬみだがーまゆんた」と照らし合わせて方言名と生態を紹介した。
子どもはカニを手のひらに乗せたり、捕まえて「ジージー」と鳴く音を聞いたり、はさみに指を挟まれたりと触れ合いを楽しんだ。
ほかにも貝の仲間「イソアワモチ」「カニノテムシロガイ」や「ウミヘビの赤ちゃん」「ハネジナマコ」「クルマエビ」など多くの生物が見つかり、見つかるたびにその生物を取り囲んで観察。カメラに収めた。「これは食べられるか」と毎回質問する参加者も。
「名蔵湾は赤土の流出が多く、大雨が降ると海が赤く濁るが、比較的短時間で青い海に戻る。それは赤土が海水と混ざるときに『塩析』という化学反応が起こり、赤土が沈殿するから。海の底にすむ生物やサンゴにとっては迷惑」と谷崎さん。
名蔵湾は「沖縄県沿岸域総合管理計画」のモデル地域に選定される見通しで、今後赤土流出対策、漂着ごみなどの保全、再生施策が検討されている。