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石垣で「米軍飛行士慰霊コンサート」-米民謡などでみ霊慰める

生演奏で犠牲者を追悼(場所は観音崎の唐人墓横)

生演奏で犠牲者を追悼(場所は観音崎の唐人墓横)

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 石垣島事件から69年目を迎える4月15日、米兵飛行士慰霊碑(石垣市新川)前で「米軍3飛行士慰霊コンサート」が開催された。

碑前で一同手を合わせる

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 石垣島事件とは沖縄戦開始後の1945(昭和20)年同日、日本海軍の対空砲火で撃墜され石垣島沖合に落下した3米軍捕虜をジュネーブ条約に反して惨殺したことから、元日本軍兵士など46人が戦後BC級戦犯として逮捕され、7人が絞首刑となった事件。

 八重山戦争マラリアの国家補償問題解決に奔走していた琉球大の篠原武夫教授が収集した資料の中で同事件を発見。犠牲者を慰める碑の建立を呼び掛け、2001年両国市民の有志により同碑が建立された。

 コンサートは同事件の継承に賛同する歌手の田本徹さんが昨年の「慰霊の日」の翌日、石垣市長に呼び掛け実現したもの。

 同碑期成会の識名信用会長は「本国から離れた南の島で、残虐の中3兵士は何を思い息絶えたかと思うと誠に忍びない。あの事件から学んだことを次の世代へ語り継ぎ、平和の実現に向け歩んでいきたい」と決意を述べたうえで、「あなたたちが与えてくださった教訓を胸に、石垣島はもとより世界中の平和の実現を祈念する」と追悼のあいさつ(代読)。

 コンサートではアコーディオン奏者の一ノ瀬季生さんが選曲したという「故郷の人々」「峠の我が家」「アメリカ民謡」など6曲の追悼曲がベース(工藤正二さん)、フルート(安部寿美子さん)、ギター(幸地芳和さん)、アコーディオン(一ノ瀬さん)の演奏の下、バリトン歌手の田本さん、ソプラノ歌手の十文字恵美さんにより、しっとりと歌われた。

 識名会長とともに毎日同碑に手を合わせに訪れているという息子の安信さんは「惨殺された3米兵と絞首刑になった日本兵全てが戦争の犠牲者であり、こうした事実があったということを風化させてはならない」と話し、「田本先生のように市民から自然発生的にこのような会が開けたことは意義がある」と謝意を表した。

 コンサートを終え、田本さんは「こうした活動のニュースが本国に渡り、温かく交流がなされることこそ平和につながるのでは」と期待を込めた。

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