一夜限りのはかない開花で「幻の花」として知られるサガリバナが現在、開花シーズンを迎えている。
サガリバナはサガリバナ科の熱帯性常緑高木で、日本では奄美大島以南に見られる。八重山諸島では西表島や石垣島などの湿地帯や川沿いに自生し、見頃は毎年6月下旬から7月ごろ。
藤のように垂れ下がる花を咲かせることから別名「サワフジ(沢藤)」とも呼ばれ、白や桃色の房状の花からは芳香を漂わせる。夕暮れ時に咲き始めて翌朝には散ってしまうが、その花の華麗さと一夜で散ってしまうはかなさに多くの人が魅了される。
国内最大級のサガリバナ群生地とも言われる石垣島北部・平久保のサガリバナ群落には毎夜市民や観光客が訪れ、夜の花見を楽しんでいる。
同群落は2005年に米盛三千弘・邦子夫妻により発見され、2011年には三千弘さんを会長に「ペーブク(平久保)サガリバナ保存会」が発足。過疎化が進む同地域の観光資源にと、ボランティアで遊歩道の整備や害虫駆除などの保護管理を行っている。
3年連続で同群落を訪れているという石垣市在住の夫婦は「満天の星空の下、満開のサガリバナが見られてぜいたくな気分。年を重ねる度に見やすく整備されていくのでありがたい」、東京から訪れた家族は「初めて見るサガリバナはきれいだった。なかなかできない体験ができた」と、それぞれ話していた。
保存会ではシーズン中の20時から22時ごろまで、遊歩道にロープライトの点灯を行っている。同会事務局によると、「開花シーズンは8月末ごろまでだが、今が一番の見頃。台風9号が発生しているので、それまでに来ていただくのがいいのでは」とも。
入場無料。