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八重山博物館で初の「聯・扁額」展-「古人の書への思い」垣間見る

19世紀に寄進されたとする扁額について説明する下野さん

19世紀に寄進されたとする扁額について説明する下野さん

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 石垣市立八重山博物館(石垣市登野城)で現在、平成26年度企画展「扁額(へんがく)・聯(れん)~板に彫られた古人の書~」が開かれている。

旧家や社寺に残されていた史料を陳列

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 同展は、通常一般の目に触れる機会が少ない扁額や聯を通して、歴史の視野を広げる一助にしてもらおうと企画。八重山の旧家や寺院、御嶽(オン)から寄贈された同館所蔵の29点のほか、「聯句集」などの古文書、拓本、写真など関連資料を含めた計39点を展示する。

 「扁額」は建物の内外や門戸などに掲げる額のことで、信仰的なものと表示的なものに大別される。前者は社寺や御嶽などに共同体繁栄への祈願や神徳をたたえた句が、後者は住居の門戸、御嶽や社寺の拝殿や鳥居などにその名称を記したものが見られる。

 一方「聯」は左右の柱に相対して掛ける対句の札で、御嶽の拝殿のほか、士族層の屋敷の仏壇などに見られる。書かれる内容は扁額と同じく信仰的なものが多いが、漢詩などの詩歌も見られるという。板に彫って掛ける恒久的なものと紙に書いて貼る臨時的なものがあり、同展では主に板に彫られた聯を取り上げる。

 揮毫(きごう)者は沖縄の書家のほか、中国から来琉した冊封使、近世の地元の能書家など幅広く、奉納時期や場所もパネルで紹介。王府時代における士族層の知識や教養、美意識を垣間見ることができる。

 同館の学芸員・下野栄高さんは「当時の八重山の人々の書に対する思いは我々以上にあったのかなと思う」と話し、「聯・扁額はこれまで公開したことがなかったので、これを機会に多くの人に知ってもらい、同時に分からないことが判明すれば」と多くの来場を呼び掛ける。

 開館時間は9時~17時。企画展は無料。1月11日まで(月曜・祝日・年末年始は休館)。

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