八重山諸島・黒島の沖合で3月29日、フリーダイビング(素潜り)のツアー客がクジラとイルカに遭遇、20分ほど一緒に泳いだという。
「青い海に胸びれの内側の白さが浮かび上がりきれいだった」とも
石垣のダイビングサービス「WAKE UP CALL」(石垣市新川、TEL 0980-82-4132の山田(金本)光映さんが、フリーダイビングツアーを案内している時に起き、フリーダイビングで水深115メートルの日本記録をもつ篠宮龍三さんが、3人のフリーダイバーを率いていた。
10時頃、黒島の南西付近でマンタやカメと泳げればとアンカーを打ち、潜り始めたところ、水中でクジラの声が聞こえたという。「声が大きかったので水面を探したところ、400メートルほど離れた場所でブローを発見、アンカーを上げ、クジラを追った」と山田さん。
篠宮さんは過去にクジラと泳いだ経験があるため、100メートルほどの距離まで寄ってエンジンを切るようにアドバイスしたところ、まもなくクジラではなくシワハイルカと思われる15頭ほどの群れが現れた。驚かさないように静かに入水すると、クジラも現れ「5メートルほどの至近距離で泳ぐことができた」という。「体長は8メートルほどで、1歳くらいのザトウクジラの子どもではないか」と篠宮さん。
ツアーに参加した亀井祐幸さんは「イルカはフレンドリーに絡んでくれた。クジラとアイコンタクトができて感動した」。久米菜穂子さんは「フリーダイビングは未熟だが、イルカから『待っていたよ、遊んで』という感じで自分のスキルに合わせて遊んでくれた。クジラも初めてで感動した」。寺田知史さんは「子クジラといっても人間より何倍も大きな動物と水中で出会えたことに感激した。ドルフィンキックをしてみたらより近くまで寄ってきてくれたように感じる」とそれぞれ興奮して感想を話した。
山田さんは船上からツアー客を見守っていたが1頭が近寄ってきて「船の上で何をしているの」と言っているように感じたので、船の近くでそのイルカと泳いだという。「4年くらい前からこの時期にクジラの目撃例を良く聞く。八重山近海で定着してくれるとうれしい」。
篠宮さんは「クジラはフレンドリーでクルクルと回転するなど、無邪気さが伝わってきた。青い海に胸びれの内側の白さが浮かび上がりきれいだった。ゆっくりと観察できて良かった」と話した。