5月31日6時34分に、火星が地球に最接近した。火星は2年2カ月に1回、地球に接近するが、今回の最接近時の火星と地球の距離は7528万キロメートルで、これほど近づくのは2005年11月20日以来11年ぶり。
石垣島天文台では28日の夜から、九州沖縄で最大の「むりかぶし望遠鏡」を使って火星の撮影を実施。撮影された画像はこれまでになく鮮明で、火星表面の複雑な模様や、北極南極には二酸化炭素が凍ってできたとされる白く輝く極冠が見え、周辺の大気中には白い雲ができていることも確認された。
北緯24度に位置する石垣島では、火星が星空高く、S字形をしたさそり座の上方赤く輝いている。撮影した日は上空の大気も安定で澄みきっており、沖縄で最大口径(105センチ)の「むりかぶし望遠鏡」の特性を生かし、火星の画像を撮影できたという。
同天文台所長の宮地竹史さんは「子どものころから火星には火星人がいる、運河があるなどとうわさされ関心を持っていた。今でも、もしかしたら生命の痕跡があるのかもしれないとロマンチックな気持ちでいっぱいになる」と火星への思いを話す。「石垣島では現在、さそり座がS字で立って見える時期で、火星はさそり座の頭の部分にルビーのように光って見える」と気持ちを込めて解説する。