うさとの服の展示会に合わせた夕暮れコンサート&トークショーが7月2日、みんさー工芸館(石垣市登野城)で行われた。主催はうさとジャパン、共催はNPO法人「八重山織物工芸産業振興会」。
ヨーロッパで20年間オペラプロダクションにいた田村邦子さんは、素晴らしい歌声を披露した
「うさと」は服飾デザイナーのさとううさぶろうさんのブランドで、天然素材を元にタイやラオスで織られた手織り草木染の洋服や小物のこと。うさぶろうさんは地球が生き残るためにできることをしようと、20年前からタイのチェンマイに拠点を構え、服作りを仲間たちとともに行っている。
うさとの服の展示販売会が7月2日~3日、みんさー工芸館で行われるのに合わせて、「夕暮れコンサート&トークショー」が同館中庭で行われた。同館では手織り体験・福木染め・うさとワークショップなども開かれた。
共催の同振興会は、八重山の伝統文化であるミンサー織りと八重山上布の保存と普及のための組織で、天然素材に草木染で手作業・手仕事こだわった伝統文化の啓発活動をしており、うさとブランドとの共通点は多い。
うさぶろうさん、KNOBさん、滝沢泰平さんが白装束にミンサー帯、頭には麻を結んだいでたちで、琉球祝詞(のりと)・ひふみ祝詞を読み上げ、祈りをささげた。祈りの後、うさぶろうさんと滝沢さんが詩を朗読し、KNOBさんのガンクドラムが心地いい音色を響かせた。KNOBさんはディジュリドゥ(アボリジニの金管楽器でシロアリに食われ空洞になったユーカリの木から作られる)の力強い音も鳴り響かせた。
神事の後、オペラ歌手の田村邦子さん、さとううさぶろうさん、NPO理事長の新賢次さんが参加してのトークショーが行われた。新さんは八重山上布の着物姿で登場。沖縄には手紡ぎ・手織り文化が多く残っている話や、ラオスでは手織りの後継者が多く育っているものの、タイでは日本と同じように、後継者が不足していることなどが話された。
「うさとの手織り布も、八重山での手織り布も、全てが手作業である布は、そのものが持つ力が違う。魂を守る布の力があるのは、作り手がエネルギーを込め、それを使い手は受け取っているから共感できるのでは。だからこそ、着るだけで元気になれる服ができるのでは」などの内容が語られた。トークショーの後、当日参加が決まったという神秘的な創作ダンスも披露された。
大宜味村出身だという田村邦子さんは、祈りの歌である「アヴェ・マリア」のほか、「芭蕉布」や子守歌などを熱唱した。
田村さんの歌の後、うさぶろうさん、KNOBさん、滝沢さんも登場して、うさぶろうさんとKNOBさんは三蔵法師の足跡をたどるシルクロードの旅を終えてきたばかりという話や、うさとの服との出会いで人生が変わった話なども語られた。4人で波動コーラス隊のセッションを伊平屋島のクマヤ洞窟で行った話になり、好きに声を出すことを来場者全員とやってみるというシーンなども見られた。
イベントのプロデュースは音楽プロデューサーの黒川修司さんで、イベントで語られた祝詞の口語訳や朗読された詩も全て黒川さんが作った。