美ら島流域経営・赤土流出抑制システム研究会主催の「サンゴ島フォーラム うみとぅぬー(方言で海と陸の意味)」が3月29日、石垣市民会館中ホール(石垣市浜崎町)で開催された。
同研究会は2005年から、石垣島のサンゴ礁を陸域から発生する赤土土壌や肥料や家畜のふん尿などによる汚染から守るため、「海と陸の連携」という視点に立ち、「八重山流域における望ましい社会システムのあり方」について研究を行っている。
研究報告では、サンゴ礁再生と赤土流出抑制をハードとソフト、2つの班が行った研究でトークセッションを行った。ハード面では「サンゴ礁と農業の共存をめざして」と題して、シミュレーションを使った流域圏の土砂・栄養塩動態の解明及び総合管理技術の開発、赤土流出を抑えられる持続可能な営農法、減少したサンゴを再生させるためのサンゴ再生技術などの研究を発表した。ソフト面では「サンゴ礁を守る美ら島産業のゆい」と題し、サンゴ礁保護のための地域環境経営システムの構築、基金制度の制度制作、持続可能な流域経営の検討と行政施策への反映などハード面とリンクさせたシステムについて発表を行った。
そのほか、「美ら海・美ら島の環境を未来につなぐ」をテーマにパネルディスカッションが行われた。東京工業大学の池田駿介教授、江戸川大学の惠小百合教授、大浜長照市長、石垣市さんご大使で歌手の加藤登紀子さん、国・県の担当者など9人が参加。国や県の赤土流出対策についての取り組みが報告されたほか、ダイビングショップや農業に携わる立場から意見が述べられた。
最後に「サンゴ礁に代表される自然の価値の再確認」「島の発展の両輪となる人材と環境と調和する産業の育成」「連携によって切り拓く」「目標は自然共生型流域圏の構築(環境と経済の両立)」「継続的な取り組みへの足がかり」と5項目の提言がまとめられた。
同フォーラムでは加藤さんによるミニ・ライブも行われ、「百万本のバラ」「時には昔の話を」など5曲を歌った。そのほか、WWFジャパン・しらほサンゴ村や石垣島沿岸レジャー安全協議会、NPO法人海洋研究所などの15団体によるポスター展示も行われた。
主催した同研究会の松下潤さんは「サンゴの赤土流出抑制の技術・科学のハード班と、どのように止めていくのかというソフト班のそれぞれの面から話を聞いてもらい、一人ひとり何ができるかを考えていただければ」と話す。