石垣市出身で市の栄誉市民である書家の茅原南龍さんが、宮良長包生誕120年を記念して制作した50点の書「心の調べ」を石垣市に寄贈した。
作品は、沖縄音楽の父と言われる市出身の音楽家・宮良長包の名曲を書で表現したもの。長包生誕120年を記念して2006年に完成させた。
文字は漢字とひらがなを交えた調和体。それぞれの曲をイメージできるように、レイアウトや墨の濃淡を変えている。例えば「なんた浜」では、緩やかな曲線を描き出し海岸線を想像させる。一見、色紙(いろがみ)に書いたように見えるが、実は文字を書いた上から茅原さん自ら絵の具を吹き付ける技法をとっており、一つひとつに思いを込めている。
1月21日に行われた贈呈式で、大濵長照市長は「長包先生の名曲の数々が書として堪能できるのも、我が郷土が生んだ偉大な芸術家2人のコラボレーションであり、芸術を極めた技がなせるもの。貴重な作品は未来永劫(えいごう)に引き継ぐものとして保管し、児童生徒や広く市民に紹介したい」とお礼の言葉を述べた。
茅原さんは「曲を全部聴いて情景をイメージし、レイアウトなど長い時間をかけて考えた。最近ではパソコンを多用し字を書かなくなったが、この機会に一人でも多くの人に漢字・かなの世界を見てもらい、書に親しんでもらいたい」と話している。
寄贈を記念し、石垣市民会館展示ホール(浜崎町)で現在、作品展示会が開かれている。開館時間は、22日~23日=9時~19時、24日=9時~17時。入場無料。今月24日まで。