教育講演会「諦めない限り夢は続く!~小さいことからの出発」が6月16日、石垣市民会館大ホール(石垣市浜崎町)で開かれ、今年春の全国選抜高校野球大会で優勝した沖縄・興南高校の我喜屋優監督が講演した。主催は石垣市教育委員会、市学力向上推進委員会。
我喜屋監督は玉城村(現在は南城市)の出身。興南高校3年の夏に主将として甲子園に出場し、県勢初のベスト4入り。卒業後は社会人野球に進み、静岡県と北海道で活躍。現役引退後も指導者として北海道に残り、2007年に母校野球部の監督として38年ぶりに沖縄に戻った。就任3年間で甲子園に4回出場している。
講演で我喜屋監督は、自らの野球人生や興南高校での指導について語った。その中で「小さな事に気付かない人は、大きな事も成し遂げられない」「嫌なものから逃げるな」とアドバイス。「毎日の体操やボール拾い、道端に落ちているゴミを拾うなど、誰でもできることを全力でやる選手は大きな事ができる」「嫌な事は逃げても、いつまでもついてくる。それよりも慣れて友達になる。すると嫌なことも後で宝物になる」と、ささいなことにも真剣に取り組む姿勢の大切さを強調した。
興南高校では雨の日でも雨合羽と長靴を履いて練習するが、「その原点は北海道での経験にある」と我喜屋監督。「どんな場所でも知恵を絞れば練習できる。個々のポジションの動きは室内でも十分。むしろ反復練習になる。できないと思うからできないのであって、やらないだけ。何とかできると最後までやることが成功の秘訣(ひけつ)」と話した。
選手とのきずなについても語った。昨年秋の九州大会で負け、「打てない興南」と批判された時には「他人の言うことを気にするな。足下を見つめ直し、自分たちがやるべきことを、目的をもって行い、反省して、明日の目安を考えながらやっていこう」、選抜大会優勝の翌日には満開の桜を見ながら「桜の花は枝が支えている、枝を支えているのは幹、でも本当に支えているのは根っこ。根っこは目に見えない。本当は見えないものが一番支えている。チームも一緒。活躍する裏で頑張っている人がいる。そこにも目を向け、光を届け、風通しのいいチーム作りをもう一回しよう」と選手たちに言ったという。
最後には、「八重山からも大きな仕事、大きな風を起こし八重山のために頑張る人が1人でも多く出てきてほしい。一緒に子育て、人間作りをしていこう」と会場に語りかけた。
講演を聞いた石垣中学校野球部主将の小林大隼君は「これまで考えてもいなかったことばかりだった。今日聞いたことを1つでも2つでも実践していきたいと思う」と話していた。