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海に生きる男たちと伝統漁を記録-カメラマン西野嘉憲さんが単行本を出版

西野嘉憲著「石垣島 海人のしごと」岩波書店(2,940円)

西野嘉憲著「石垣島 海人のしごと」岩波書店(2,940円)

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 石垣島に移り住み、10年かけて漁業者の姿を撮り続けたフリーカメラマンの西野嘉憲さんが今年7月、岩波書店からフォトルポルタージュ「石垣島 海人のしごと」を出版した。

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 西野さんは大阪府出身。広告制作会社勤務を経てフリーカメラマンとなり、大学在学中から旅をしていた南西諸島で生きる人と自然のかかわりをテーマに撮影を続ける。石垣島での撮影は2000年にスタート。5年間は東京から通ったが、腰を据えて取材するため2005年に島に移住した。

 石垣島に受け継がれる漁法を一つずつ記録する手法で取材。伝統の追い込み漁や素潜り漁、かご網漁、一本釣り、定置網漁など取材した漁法は20を超える。衰退の一途をたどり、今ではほとんど行われなくなった漁法も克明に記されている。

 写真では釣り上げた魚を手にした海人(うみんちゅ=漁業者)や船の上で格闘する人々の表情などを紹介。漁に何度も同行し、海人から信頼を得ている西野さんだからこそカメラに収めることができた瞬間と感情が感じられる。中でも5メートルを超える長い銛(もり)1本で漁をする「海人三郎」こと下地清栄さんの紹介では、水中で魚を突いた瞬間や50キロ近いイソマグロと格闘する様子、尖閣諸島付近での漁などを見事にとらえている。

 海人たちが語る海での生活や歴史も興味深く、魚名や会話をあえて方言で記している(注釈付き)ところからも西野さんの島の人々への敬愛の念が感じられる。西野さんは著書に「命と向き合い、自然に寄り添って暮らす海人。自然との共存を模索するこの時代に、彼らの自然観から学ぶことは多いはずです」と記している。

 価格は2,940円。

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