沖縄県石垣市で、ホタルが瞬くシーズンが到来した。毎年3月前半から6月中旬までヤエヤマボタルによる光のイルミネーションが見られ、地元の人や観光客の人気を集めている。見どころや注意点などについて、市内で自然・野鳥観察、シュノーケルツアーなどを行う「フィールドガイドSea Beans」(石垣市白保、TEL 050-7551-4144)社長の小林雅裕さんに聞いた。
小林さんは、このホタル観察ツアーを6年前から始め、全国から年間100人以上がホタル狩りを楽しむ。ヤエヤマボタルを初めて見た観光客は、野鳥の声、カエルや虫などのBGMを聞きながら、ジャングルの中に輝く光のイルミネーションに感動するという。
「ヤエヤマボタルは石垣島と西表島のみ生息し、体長は約5~6ミリとゲンジボタルの3分の1ほどの小さなホタル。森林の低地から中腹あたり、気温と湿度が高く、無風の日に多く出現し、日没後30分ほどの短い時間のみ観察できる。雌は地面におり、雄が求愛のため腹部後方を点滅しながらゆっくりと飛び、条件が良ければ森の中に光のじゅうたんができる。ゴールデンウイーク前後がピーク」と小林さん。
アマチュアカメラマンにも人気があるが、撮影にはコツがいるという。「一眼レフカメラとF値が明るい広角レンズが必要。ポイントは風景を入れることで、ホタルが光り始める前、遅くても30分前くらいにポイントに行き、飛びそうな場所にカメラを設置し構図を決める。露光は1分~10分くらいで調整、カメラボディーに赤色のLEDランプが点滅する場合はテープなどで隠す」とアドバイス。
「ホタル撮影の楽しみは撮影を終えるまで、どんな写真が撮れているか分からないこと。想像を超えるような写真がまれに撮れ、多くの人がその魅力に夢中になる」と目を輝かせる。仕上がった写真は、まるで自然が織り成すエレクトリカルパレード。暗い森の中でホタルが飛翔(ひしょう)する軌跡が金色にちりばめられ、幻想的な作品になる。
観察する際の注意点を聞いた。「光る前にポイントへ行き、光り終わるまで帰らない。懐中電灯などライトを照らす行為はホタルの繁殖を妨げ、さらには数が減少していくことにつながる。謙虚な気持ちで鑑賞してほしい」。服装にも注意が必要で、サキシマハブ、オオムカデなどがいるので、帽子、長袖、長ズボン、長靴を履くことを勧める。