石垣市防災週間中の4月29日、石垣島全域を対象に津波を想定した避難訓練が行われ約1700人が参加した。
石垣市による地震と津波を想定した避難訓練は今月24日に続いての実施。今回は主に各地域の自主防災への取り組みを視野に行われた。
当日は10時に石垣島南方沖で震度6弱の地震が発生したと仮定し、同市が防災無線と防災情報メールを送信。大津波警報と共にサイレンを鳴らし、避難を呼び掛けた。
直前から降り出した強い雨に参加が懸念されたが、避難場所の一つである登野城小学校には約80人が集合。町内会の責任者らが名簿記入の声掛けなどを行った。
その後、石垣市消防本部が救助方法やAED(自動体外式除細動器)、消火器の使い方などを説明。救助法では竹竿と毛布を使った担架作りを実演した。
住民からは「AEDは訓練をしなくてもできるか」「おう吐している場合は心肺蘇生するのか」「消化器はどれくらいの広さに有効なのか」など質問が挙がり、消防職員が「AEDの使い方など講習会を行っているので、希望する人は連絡してほしい」と自主的な参加を呼び掛けた。
5歳、4歳、1歳の子どもと夫婦で参加した女性は「東日本大震災があり、ここでも地震があるかもしれないと思って参加した。子どもを抱っこしたり、荷物を準備したりと大変さを感じた」、70代の女性は「防災無線の声は外に出て注意しないと聞こえなかった。避難する途中、隣近所に声をかけてきたので、思ったより時間がかかった。訓練は何を準備したらいいか予備知識や心掛けにつながるのでいいことだと思う」とそれぞれ話していた。
一方、石垣市は中央運動公園屋内練習場に防災対策本部を設置。市消防、八重山警察署、石垣島気象台に加え、要請を受けて派遣されたと想定して陸上自衛隊第15旅団(那覇市)も参加して情報収集や避難所の整理にあたった。自衛隊は救援物資を運んだり、女性防火クラブらと協力して約400食分のカレーの炊き出しを提供したりした。
中山義隆石垣市長は「あいにくの雨で心配したが多くの市民に参加してもらい、初めてにしては良かったと思う。今後も避難訓練を実施していきたい」と話した。