ロンドン五輪の自転車ロードレース日本代表に石垣島出身の新城幸也選手が選出されたことを受け、地元は大きな喜びに包まれている。八重山出身の五輪選手は初めて。
新城選手の五輪出場が決まった5月1日、父・貞美さんの携帯電話は鳴りっぱなしだった。「発表が待ち遠しかった。まさか自分の息子が初めての五輪選手になるとは思わなかったが、本人が常に目標を掲げて努力した成果。4年前(北京五輪)は涙を飲んだので、今日の喜びは本人としても格別だろう」と喜んだ。
新城選手は先月1日のレースで左手首を骨折し手術。痛みに耐えながら同29日に開催された全日本選手権(岩手)に出場し、9位で完走した。「握力もない中でよく頑張った。日に日に良くなっていると聞いているのでオリンピックまでには元に戻るだろう。トップレベルの中で自分の力を発揮していい成績を残してほしい」と期待を寄せる貞美さん。
本人からの電話を受け「よかったね、おめでとう」と話したという母のるみ子さん。「まだ信じられないという思いと昨年、今年とけがが続いたのでホッとした気持ち。皆さんの応援のおかげ。頑張ってもらいたい」と目を潤ませた。弟の健史さんも「兄を誇りに思う」とコメントする。
今年3月には新城選手の祖母・八重子さんが他界。レースのため葬儀に出られなかった新城選手は、全日本を前に帰郷して線香を供えたという。八重子さんは生前、オリンピック出場を強く望んでいたことから「きっと喜んでいるだろう」と貞美さんは話していた。
夜には八重山自転車競技連盟会長の長谷川毅彦さん宅では関係者が集まって出場を祝う会が開かれ、多くの激励に貞美さんとるみ子さんの目も潤んだ。長谷川さんは「感慨無量。多くの日本人に見てもらいたい」と喜びながら、「勝負は最後30キロぐらいだろう。経験を積んで勝負に対する感覚も磨かれている。普段のチームレースとは違いオリンピックではどの選手も勝ちに来るので幸也にもチャンスはある」と活躍に期待を寄せる。
後援会会長の平田勝男さんは「岩手ではかけはし交流会の人たちなど約30人が応援に来てくれた。レース中には笑顔も見えた」と全日本での様子を報告。「本人と調整して、オリンピック前に石垣で激励会ができれば」と話し、市内各所での懸垂幕設置、応援ツアーの企画なども発表した。
中山義隆石垣市長も「新城選手は皆が期待している選手。島を挙げて応援したい。市民にとってもオリンピックを見る楽しみが増えた。新城選手には万全な体調で頑張っててもらいたい」とエールを送る。
ロンドン五輪の自転車個人ロードレース(男子)は7月28日に行われる予定。