歌手の松田美緒さんとギタリストで作曲・編曲家でもあるジョアン・リアさんのライブが10月24日、石垣の居酒屋「パパビゴーヂ」(石垣市大川、TEL 0980‐88‐6502)で行われた。ライブは、サードアルバム「Asas」の発売(10月3日)を記念したもの。同アルバムを共同プロデュースしたブラジル音楽の巨匠、ジョアン・リラさんとともに全国11カ所でライブを行っている。
松田美緒さんは、大学時代にファド(ポルトガルで生まれた民俗歌謡。「運命」や「宿命」という意味を持つ)に出会い、ポルトガル語を独学で学び歌い始める。2003年にリスボンへ留学しファドを習得した後、ブラジルやミナス・ジェライス州、カーボヴェルデで歌手活動を行っていた。2005年8月にファーストアルバム「ATLANTICA(アトランティカ)」でデビュー。ブラジル音楽、ファドなどポルトガル語圏の音楽の歌い手として活動しているほか、言語やジャンルを越えて多様なアーティストとコラボレーションを展開している。
ライブは同アルバムに収録されている「祈りのかたち」から始まり、「アザス(翼)」、ブラジルの女性歌手ルピシニオ・ロドリゲスの「決して」、アコーディオン奏者で作曲家、歌手でもあったルイス・ゴンザーガの「黒ツグミ」と続いた。松田さんが尊敬しているという大工哲弘さんの「ゴンドラの唄」や世界的に知られる作曲家の武満徹さんの「小さな空」という日本の歌も披露。
「ブラジルにいるような雰囲気。皆さんの顔がブラジル人に見えてきた」と松田さん。「去年の8月に石垣島に遊びにきて、ここでライブができたらいいなと思っていた。こんなに早く実現するとは」と笑顔で話していた。
ライブ後半はジョアン・リラさんのギターソロ「Do Joao Para Pernambuco」で幕開け。低音弦が1つ多い7弦ギタリストの山田裕さんが参加して「couringuinha」を演奏すると、その迫力に会場からは歓声と拍手が送られた。
松田さんは「自分なりのファドを歌えたらと思っていて、やっと自分の形ができたかなと思う」と話し、情感を込めて「神様」「想いをあつめて」「田舎の列車」を歌い上げた。アンコール曲では歌に合わせて踊りだす人もおり、ライブは最後まで盛り上がりを見せていた。