石垣で5月6日、真喜良小学校児童と八重山商工高校生物部が名蔵アンパルの自然観察会を行った。主催はアンパルの自然を守る会で、児童・生徒によるガイドは初の試み。
名蔵アンパルは2005年にラムサール条約に登録された名蔵川河口の湿地。同会初代会長を引退した島村修さんからの寄付金を活用し、「島村修賞研究支援事業」を2012年から実施。今年3月に研究報告会を行った2組が現地で市民に発表する場を設けた。
幼児から大人まで約30人の市民が参加、田渕鈴夏さん(真喜良小5年)が「名蔵アンパル・マングローブ林、干潟の生き物と環境についての研究」の成果を発表した。田渕さんは自生する草木や貝類を指さし「皆さん、これを見てください」と説明、草をかませて塩分を含む草であることを確かめさせたり、自分の目で生物を探させたり、質問を受け付けたりと、ネイチャーガイドさながらのプレゼンテーションを行った。
肉食の貝「ホウシュノタマガイ」の卵は、砂で作った茶わんをひっくり返したような形。田渕さんは「このあたりに30個くらいあります。幅1センチくらいの曲がりくねった筋の先に卵を見つけることもできる」と説明、参加者は次々と卵を見つけた。
2つのペットボトルを取り出し、「茶色くにごっている水は名蔵大橋の下で採取した赤土でにごっている水、『ホウシュノタマガイ』が生息する場所の水はこちらのようにきれい」と説明、今後は赤土流出とオニヒトデの大量発生の関係についても調査したいという。
田渕さんは、今回同様の自然観察会参加を通して、動植物に興味を持ったという。今回の観察会のために2回の現地視察の上臨んだ。出来栄えは「80点くらい」と照れて答えていた。将来はネイチャーガイドの仕事に就きたいという。
同部の5人は「アンパルに生息するシレナシジミの研究」について発表、シレナシジミは10センチを超える日本一大型のシジミ。放卵に適した塩分濃度を調べる実験のほか、卵の捕獲のためにペットボトルを利用できることを説明。干潮に合わせて転がって移動する仮説の立証や、アカテノコギリガザミとシレナシジミを水槽で飼育すること、ウェブカメラで撮影し殻を割って捕食する様子の撮影に成功した。
同会は、今後ガイドブックの発行やアンパル園地整備計画を進めるなど、積極的に自然保護の必要性や保持するための監視・調査を行うという。