旧盆明けの伝統行事「イタシキバラ」が8月22日、石垣市内の各集落で行われ、地域住民や観光客らが詰め掛けた。
イタシキバラは旧盆中にあの世に帰り損ねた霊を送るため、獅子の霊力などで邪気を払い、地域住民の無病息災を願う伝統行事で、毎年旧盆送り日の翌日に行われる。獅子舞や棒術、アンガマトゥズミ(踊り納めの行事)やニンブジャー(念仏踊り)など、地域により特徴がある。
宮良集落では日没過ぎから獅子のトゥニムトゥ(家元)となる東成底家に公民館役員やオン(御嶽)の氏子・ツカサ(神司)などが集合した。座敷で同集落発祥の民謡・赤馬節や目出節などが歌われた後、銅鑼(どら)の音とともに子獅子が軽快な舞で庭に登場。家主による酒のふるまいを受けた後、一回り大きな雄雌の親獅子が加わって庭中を駆け回り、会場を沸かせた。
獅子舞の演舞が終わると、村人らが三味線や太鼓、笛の地謡の周りを歌いながら踊るニンブジャーで邪気払い。一行はこの後オーセ(番所)、公民館横庭へと移り、花笠を被りサングラスをかけた青年会や婦人会の成員、子どもたちも加わって同様に邪気払いが行われた。
一通りの儀式が終了すると、村人らによる舞踊や流行曲の歌やダンスなど、ユーモアのある演目が次々と繰り広げられた。途中、観客らが覆面をして飛び入りで踊りに参加して会場の笑いを誘うなど、深夜まで村がにぎわった。
イタシキバラの後は集落内の新築の家を子獅子がまわり、屋敷清めの舞いが行われた。