石垣で3月21日、京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんの講演会「原発事故から学ぶ、万一の台湾原発事故にどう備えるか」が石垣市民会館(石垣市浜崎町)中ホールで開かれた。主催は石垣市民ラボとちむぐくる。
小出さんは、原子力の平和利用を信じて研究を進めていたが、女川原発の反対運動などに接し、原子力発電をなくすために方向転換した研究をすすめてきた。311の福島原発事故では、情報を開示しない政府に変わり明解な解説を行い、一躍脚光を浴びた。
講話は原子力発電の仕組みから、福島原発の事故について、広島原爆と比較しながらわかりやすく説明を行い、約200人の市民は、うなずいたりメモを取ったりしてその現状を目の当たりにした。
「福島の汚染地に残れば、被爆により体が傷つき、避難すれば生活や家庭が崩壊し、心がつぶれる。去るも地獄、残るも地獄で被害者には苦しい選択が行われた。福島の人は、恐怖は持続しないのでなんとか忘れようとしているため、放射線のことを話すと『復興の邪魔になるから黙れ』と言われる」と小出さん。
「石垣島は国内で福島から一番離れ、安全のように思えるが、約250キロ西の台湾北部に原子力発電所が集中する。仮に福島原発以上の大きな事故が発生し、風向きが石垣に向かった場合、1日と9時間で放射能雲が到達し、避難する日が1週間後の場合、人口4万1930人だと仮定して長期にわたるガン死が1126人。1カ月後に避難した場合は1677人、5年後は7543人」と説明した。
最後に「台湾で事故が起きた場合の備えについての題目でしたが、残念ながら備え方はわかりませんでした。原発をなくすしか方法がありません」と結んだ。
質疑応答では「台湾の原発反対グループの連絡先は」「電気料金の算定方式で使われる総括原価方式とは何か」「小出さんはチェルノブイリと福島の事故を比較してどちらが大きいと思うか」など寄せられた。