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私設図書館「みちくさ文庫」が登野城に移転 AIと会話できる電話機も

「みちくさ文庫」館長の佐藤仁さん

「みちくさ文庫」館長の佐藤仁さん

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 私設図書館「みちくさ文庫」(石垣市登野城)が登野城に移転して、11月18日で半年がたった。

AI(人工知能)との会話を楽しめる「みちくさ電話」

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館長の佐藤仁さんは大阪府城東区出身。「本を通して人と人をつなげる」をコンセプトに2021年にゆいロード沿いに同館を開いたが、繁華街から離れた場所で運営してみたいと考えて移転に踏み切ったという。蔵書数は佐藤さんがそろえた図書と寄贈された図書を合わせた約400冊。うち240冊が貸し出し可能で、利用は無料。館内には運営費に充てる寄付箱を設置している。読書や軽作業に利用できるカウンター4席を用意する。

 寄贈本の利用者は返却時にコメントを書き込み、寄贈者と感想を共有することができる。「人と人がどうつながったら面白いか」を常に考えているという佐藤さん。寄贈者と利用者が館内で会うと、本を共通の話題に会話が弾むこともあるという。このほか、利用者同士でジュースをプレゼントし合える「ジュースdeスポンサー」も実施している。100円を寄付すると寄付者はカードに名前や自身のSNSアカウントとコメントを載せることができ、ドリンクコーナー利用者は好きな寄付カードを使ってジュースをもらうことができる。佐藤さんは「定期的に遊びに来てくれる小学生がいたり、カウンターテーブルで宿題をこなしていってくれる子もいる」と笑顔で話す。

移転に伴い、AI対話ソフト「チャットGPT」を旧型固定電話機とつなげてAIとの会話を電話で楽しめる「みちくさ電話」も設置。佐藤さんは「古さと新しさのミスマッチが面白いと思って作ってみた」と話す。新しい技術の受け皿にあえて古いものを活用することで、「今あるものを大事にするという思いを表した」という。

 移転先の物件を選んでいるうちに佐藤さんは「石垣島には家と商店が一体化している建物が残っているが、商店街の衰退で商店スペースがデッドスペースになっていてもったいない」と感じるようになったという。佐藤さんは「このエリアは、昔は店が並んで活気があったと聞いている。大川では観光者の訪問が多かったが、今は地元住民の利用が大部分になるという変化があった。みちくさ文庫があることによって、新しい人の流れができるとうれしい」と話す。佐藤さんは同館を「デザイン工房」としても兼用し、印刷物やパンフレット、ロゴ制作なども引き受けている。

開館時間は11時~17時。

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