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波照間島に国内初の可倒式風力発電設備が完成

波照間島に建設された国内初の可倒式風力発電機

波照間島に建設された国内初の可倒式風力発電機

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 沖縄電力(本店・浦添市)が波照間島に建設していた可倒式風力発電機が完成し、12月14日、送電開始を知らせる併入式が行われた。強風に備えて倒すことができる「可倒式」の風車を導入するのは国内で初めて。

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 同社は発電コストの低減、CO2排出量削減を目的に風力発電設備を設置してきたが、大型台風による倒壊やブレード折損などの被害を度々受けてきた。そのため強風に耐え得る設備の開発やバックアップ用電源の設置などに取り組んできたがコストアップの要因となり、小規模離島での経済性が確保できない状況が生じていた。

 そこで発想を転換し、強風を避ける新たな風力発電設備としてフランス・ベルニエ社製の可倒式風車に着目。ニューカレドニアなどで現地調査を行うなど検討を進め、実現に至った。波照間には2基の風車を設置。高さ38メートル、羽の直径32メートルで、1基あたり最大で245キロワット(計490キロワット)の電力を出力できる。

 可倒式のメリットは強風からの被害を抑えられる以外に、建設時に大型クレーンを使う必要がない、メンテナンスが地上高で行えるなど作業のしやすさがある。不具合が生じたときの復旧や清掃などがしやすく、結果的にコストダウンにもつながるという。

 この事業は、沖縄特別振興対策調整費を活用した国、県の補助事業「2009年度島嶼地域におけるエネルギー自給システム構築調査事業」として安定した電力供給の実証を行うもの。今後は風の強さに左右される風力発電の出力変動を抑制する系統安定化装置「フライホイール」を8基整備。そして既存のディーゼル発電機と併用しながら、まずは島で必要な電力の約2割を風力発電でまかなうことを目指し、研究を進めながら風車の投入率アップを図っていく。

 併入式では同社の佐久眞章副社長らがスイッチを押すと1号機の風車が回転。関係者は拍手をして稼働を喜んだ。また2号機内部の見学や風車の立ち上げも行われ、島嶼地域ゆえに課題となっていた復旧期間の長期化などの解決に期待を寄せていた。

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