東日本大震災の被災地から遠い身寄りの元に一時避難する人が増える中、石垣島にも自主避難する人々の姿が増えている。
石垣市観光協会空港観光案内所によると、最初に宿泊先を尋ねられたのは大震災の翌日。福島県から観光に来た20代女性が「自宅に戻っても避難所生活になってしまう」と長期で泊まれる場所を探しており、素泊まり旅館を紹介した。その後子連れの移住希望者や、家族を呼ぶつもりで自分が先に移住し、土地に詳しくなっておきたいという人など、石垣空港に到着してすぐの自主避難者からの問い合わせが増えているという。
主に関東や北関東から「常に揺れているので、次にいつ大きい地震がくるか心配」「不安で眠れない」「放射能が怖い」といった理由で来る人が多く、石垣島を選んだ理由は「人が少ないのどかなところだから」「どうせ外に身寄りがいないなら放射能が届かない遠くに」と話している。また、到着日の宿泊先なども決めずに「とりあえず大事になる前に逃げてきた」という人が目立ち、観光案内所では「長期で泊まれる宿泊先」「病院の場所」「スーパーなど生活用品の調達場所」「学校の場所」を尋ねられることが多くなっている。中には「石垣には津波や地震は来たことがあるのか」や「津波が来たときの避難場所」など、防災に関連した土地情報を確認する人もいるという。
東京から移住予定で来島した40代男性は「いつも揺れているので精神的におかしくなりそうだった。国の発表や報道には疑念があり、どこまで本当か信じられない。とにかく自分の身は自分で守ろうと、震源地から遠い石垣島を選んだ」と話す。「落ち着いたら両親も連れて来たい」とも。
外国人の夫を持つ女性は「都内ではお米さえ買占められ充分に手に入らないので困っている。病院勤務で24時間体制なのに幼い子どもを預ける保育園からは登園自粛の連絡があったり、正直とてもきつい。夫の両親からは帰国命令が出ているようだが、それなら石垣へ来たいと思っている」と電話での問い合わせもあったという。