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八重山農林高校でバニラの花咲く-香料づくりに意欲

バニラの花を開花させたアグリ・リサーチ部の部員たち(中央に花)

バニラの花を開花させたアグリ・リサーチ部の部員たち(中央に花)

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 八重山農林高校(石垣市大川)のアグリ・リサーチ部が、同校で初めてバニラの花の開花に成功した。

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 植えたのは昨年7月ごろ。同校に昨年赴任した教諭の船越秀輝さんが指導し、生徒たちが丹念に世話したところ、今年4月28日に最初の花が咲いた。その後は2日に一度のペースで1輪ずつ咲いている。「1年目で咲くとは思わなかった」と船越さん。前任校でもバニラを育てていたが、開花までは8年かかったという。「ここは沖縄本島よりもさらに南にあるので環境が良いのかもしれない」。

 花は午前中だけ咲いて午後はしぼんでしまう。バニラは観賞用として家庭で育てている人もいるが、茎が十分に育つことや冬場の温度にも左右されるため、開花や結実させるのは難しい。そのため花を見られる機会はめったにないという。

 生徒たちは午前中に人工交配させ、成長を見守っている。うまくいけば結実し、種子鞘(さや)ができる。花自体ではバニラの香りはしないが、鞘を発酵させると独特の甘い香りがするようになる。確実に実を付け、より良い香りにするためには高い技術が必要で、同校で研究が進めば国産バニラとして注目を集めるに違いない。

 船越さんは「ハウスではなく、露地栽培でも咲かせられるのは国内でも沖縄くらい。もっと苗を作り、地域の人たちにも育ててもらいたいと思っている」と話し、「将来はアイスクリームやリキュール、菓子など商品化を実現したい。観光資源としても役立てられると思う」と期待を寄せる。

 同部の高西祥ニコール部長(2年)は「花が咲いてとてもうれしい。今は花が1つだが、来年には本格的に咲くと思うので楽しみ。自分が育てたバニラでバニラアイスが食べてみたい」と笑顔を見せる。

 開花は国内でも珍しく、沖縄県内では海洋博公園の熱帯ドリームセンターで栽培されている。

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