

外からの視点と技術を受け入れ、
壺屋から、新しいやきもののかたちを。
300年以上続く壺屋焼の窯元・育陶園(沖縄県那覇市)は、愛知県常滑市を拠点に活動するプロダクトデザイナー・高橋孝治氏とともに、新たなやきもののプロジェクト「壺滑(つぼなめ)」を始動します。
育陶園はこれまで、壺屋焼という軸を大切にしながら、先人から受け継いできた技術や表現を、今の暮らしへどうつないでいくかを考え続けてきました。
今回のプロジェクトでは、そこから一度視点を外へひらき、沖縄の外からこの土地を見つめる高橋氏の視点と、常滑という異なる窯業地で培われてきた知見や技術を取り入れることで、これまでとは異なる角度から沖縄のやきものを見つめ直しました。
外からの視点だからこそ見えてくる沖縄の自然や風土、色、暮らし。
そして、産地を越えて持ち寄られた技術や知識。それらを育陶園が培ってきた手仕事と掛け合わせることで、新しい沖縄のやきもの、そして壺屋のこれからの可能性を探る取り組みです。
壺滑とは
壺滑は、壺屋と常滑、ふたつの窯業地を越えて、人・技術・視点が交わることで生まれたやきもののプロジェクトです。
沖縄のやきものの歴史を振り返ると、その発展は決してこの土地の中だけで生まれたものではありません。
中国や東南アジアとの交易、薩摩との関わり、朝鮮からもたらされた製陶技術など、先人たちは時代ごとに外から新しい文化や技術を取り入れ、それを沖縄の土や風土、人々の暮らしの中で育てながら、現在へと続く沖縄のやきものの礎を築いてきました。
育陶園もまた、その歴史にならい、今の時代だからこそできる新しい「外との交わり」をつくりたいと考えました。
今回協働したのは、愛知県常滑市を拠点に活動するプロダクトデザイナー・高橋孝治氏。
高橋氏が沖縄を訪れ、この土地の自然や暮らし、やきものの成り立ちをあらためて辿ることからプロジェクトは始まりました。
沖縄の赤土や赤瓦、シーサー、島々の成り立ち、そこに生きる動植物。
私たちにとっては日常の中にあるものを、外から訪れた人の視点であらためて捉え直すことで、これまで気づかなかった沖縄の魅力や造形が浮かび上がってきました。
さらに、常滑で培われてきた製陶技術や知見を取り入れながら、育陶園の職人が一つひとつ手仕事で形にしています。
産地の枠を越えて、それぞれが持つものを持ち寄り、新しいものを生み出していく。
それは、かつて先人たちが外からの技術や文化を受け入れながら、沖縄独自のやきものへと育ててきた営みとも重なります。
「壺滑」という名前には、壺屋と常滑、ふたつの窯業地が行き来し、交わることで生まれる新しいやきものへの思いを込めています。
product
habu|一輪挿し

一輪挿しにも、オブジェにも

沖縄の赤土 ハブ
沖縄の白土 ハブ
沖縄の島々と、その土地に生きるハブの姿から生まれた一輪挿し。
ハブは沖縄を象徴する生き物のひとつです。
毒を持つことから恐れられる存在である一方、その分布は、沖縄の島々が長い年月の中で接続と分断を繰り返してきた地史とも深く関わっています。
人も動物も、水のある場所に暮らしてきました。
沖縄の自然と暮らし、そしてそこに生きるハブの姿をなぞるように、水を受けるチューブ状の一輪挿しとしてデザインされています。
石膏型を用いた泥漿鋳込みによって、連続したかたちを一体で成形。
外側は釉薬を掛けずに焼き締めることで土そのものの表情を残し、内側には水を留めるための透明釉を施しています。
沖縄の自然を直接的に描くのではなく、その背景にある地形や生態、暮らしまでをたどりながら生まれた、新しい沖縄の造形です。
tatara|沖縄の赤を食卓へ



沖縄の景色をつくってきた「赤」と手仕事の揺らぎを、そのまま日常の器へ。
沖縄を歩いていると、赤土や赤瓦、シーサーなど、さまざまな場所で印象的な赤に出会います。足元の土と火から生まれ、長い時間をかけて沖縄の景色をつくってきた色です。
「tatara」は、ごく薄く伸ばした板状の土「タタラ」を型に被せて成形する器のシリーズです。成形から乾燥、焼成へと進む中で生まれるわずかな歪みや個体差を、均質に整えるのではなく、土と技法、そして人の手がつくる自然な表情としてそのまま残しています。外側は釉薬を掛けずに焼き締め、沖縄の土が持つ赤い色や質感を活かしました。
一方、料理を受ける内側には艶のある白い釉薬を施しています。
沖縄の風土から立ち上がる赤と、日々の料理を受け止める白。
そして、一つひとつ異なる手仕事ならではの揺らぎ。
それぞれを掛け合わせながら、特別なものとして飾るのではなく、毎日の暮らしの中に自然と溶け込み、食卓に新しい景色をつくる器を目指しました。
tatara bowl S
「汁ものを両手で抱えるように」 小ぶりなボウルです。日々の食卓で気軽に使える大きさです。
tatara deep plate M
「それぞれの料理を受け止める深皿」 ほどよい深さで、汁気のある料理にも合う器です。
tatara deep plate L
「料理をたっぷり盛りつけて」 食卓に置く大きな深皿。みんなで食事を楽しむための器です。
高橋 孝治(たかはし こうじ)

プロダクトデザイナー/Koji Takahashi Design Office
愛知県常滑市を拠点に活動するプロダクトデザイナー。
地域に根づく素材や技術、産業の背景を丁寧に読み解きながら、現代の暮らしへつながるプロダクトのあり方を探るものづくりに取り組んでいます。本プロジェクトでは沖縄を訪れ、自然や暮らし、やきものの成り立ちを辿ることからリサーチを開始。沖縄の内側にいる私たちとは異なる視点からこの土地を見つめ、沖縄の自然や風土、生き物の姿を新たな造形へと落とし込みました。
常滑で培われた製陶技術や知見と、育陶園が持つ壺屋の手仕事をつなぎながら、「habu」「tatara」のプロダクトデザインを手がけています。
壺屋焼窯元育陶園について



育陶園は、300年以上の歴史を持つ壺屋焼の窯元です。
伝統技術を大切に受け継ぎながら、沖縄の暮らしの中で育まれてきたやちむん文化を、製造・販売・体験事業を通して次世代へ伝える活動を行っています。育陶園のビジョンは、「壺屋の景色をつなぐ」こと。
やちむんだけでなく、職人の手仕事、工房に流れる時間、街並み、人々の暮らしや文化までを含めた「壺屋の景色」を未来へつないでいくことを目指し、日々ものづくりと場づくりに取り組んでいます。一方で、伝統をつなぐことは、これまでと同じものをつくり続けることだけではないと私たちは考えています。
壺屋のやきものもまた、長い歴史の中で、外から新しい技術や文化を受け入れ、それをこの土地に根づかせながら変化してきました。今回の「壺滑」も、その営みの延長線上にある取り組みです。外から沖縄を見る高橋氏の視点、常滑からもたらされた技術や知見、そして育陶園が培ってきた壺屋の手仕事。それぞれを掛け合わせることで、これまで私たちだけでは見つけることのできなかった、新しい沖縄のやきもののかたちが生まれました。
産地を守りながら、産地を越えて交わること。
先人たちがそうしてきたように、今の私たちも外からの力を受け入れながら、ここ沖縄のやきものの発展の地・壺屋から、次の景色をつくっていきたいと考えています。「壺滑」は、その新しい一歩です。
・公式サイト: https://www.ikutouen.com/
・公式Instagram: https://www.instagram.com/ikutouen/
概要
プロジェクト名:壺滑(つぼなめ)
発表:2026年9月
展示:東京インターナショナル・ギフト・ショー FOCAL POINT
会期:2026年9月2日(水)~4日(金)
出展:「窯業地 / Koji Takahashi Design Office」
商:habu、tatara
一般販売
2026年10月より育陶園店舗「壺屋のいりぐち」・ECおよび卸先への出荷を予定
※販売時期が確定しましたらあらためてお知らせ致します。
「壺滑」は、2026年9月に東京の国際展示場で開催されるギフトショーの特設エリア「FOCAL POINT」に、「窯業地 / Koji Takahashi Design Office」として国内5つの産地から生まれたやきものとともに出展し、「habu」「tatara」をお披露目します。
その後、2026年10月より、卸先への出荷、育陶園の店舗およびECでの一般販売を予定しています。
Credits:「壺滑」プロジェクト
オーナー:有限会社育陶園(壺屋焼窯元)
プロデュース:白水高広
クリエイティブディレクション・プロダクトデザイン:高橋孝治
技術協力:常滑・山源陶苑
アートディレクション:神谷真美
写真:加藤晋平
お問い合わせ
壺屋焼窯元 育陶園(有限会社育陶園)
E-mail: koho@ikutouen.com
TEL: 098-866-1635
担当: 由利・高江洲