プレスリリース

HPC(R)外壁パネルが日本建築センター評定取得!建築物の軽量化と解体後のリユースで、建築物の生涯CO2排出量削減に大きく貢献、サステイナブル社会の実現に向け、次世代建材がアップグレード!

リリース発行企業:株式会社HPC沖縄

情報提供:

 株式会社HPC沖縄(本社:沖縄県、代表取締役:阿波根 昌樹、以下「HPC沖縄」)は、新工法・新設備・新素材の技術評価専門機関である一般財団法人日本建築センター(以下「BCJ」)特別工法評定委員会の評定取得をお知らせします。

・評定件名:HPC帳壁工法を用いるAプラン

・評定番号:BCJ評定ーSS0074-01(令和6年12月18日付)

HPC Okinawa Co., Ltd. (Headquarters: Okinawa Prefecture; CEO: Masaki Ahagon) is pleased to announce that on December 18, 2024, it received an official assessment from the Special Construction Method Assessment Committee of the Japan Building Center-an organization specializing in technical evaluations of newly developed construction methods, equipment, and materials.
The assessment is titled "A Plan Using the HPC Wall Method" and is registered under assessment number BCJ Assessment SS0074-01.
■HPC(R)技術とは
 ハイブリッドプレストレスト(R)コンクリート(以下「HPC(R)」)技術は、沖縄の厳しい自然環境--「塩害・台風・地震」--および島嶼圏特有の工場製品の運搬物流に関する社会課題の解決を目指して生まれた、革新的なコンクリート二次製品製造技術です。この技術は、高強度繊維補強コンクリートを主材とし、複数の特許技術によって構成されています。
 HPC(R)技術の特徴は、火災時の爆裂防止、ひび割れの発生およびひび割れ幅の拡大抑制、そしてプレストレスの架橋効果を促進するために、ポリプロピレン繊維材(以下「PP」)を混入している点にあります。また、従来の鉄筋の代替として炭素繊維緊張棒材(以下「CFCC(R)」)を使用し、プレテンション方式による機械的な圧縮応力(メカニカルプレストレス)を導入するとともに、コンクリート内に添加された膨張材による硬化時の体積膨張力(ケミカルプレストレス)を組み合わせることで、相乗効果を発揮し、極めて高い耐久性と強靱性を備えたコンクリート製品を生み出しています。

                     【HPC(R)技術の基本メカニズム】

 これまで、鉄筋コンクリート製品における爆裂現象(鉄筋の錆による体積膨張が原因で発生するコンクリートの剥離現象)は、大きな課題とされてきました。大気中のCO2による中性化や潮風による塩害が鉄筋の腐食を促進し、それを防ぐために必要なかぶり厚さを増やすことで、コンクリート製品全体の重量増加を招くという問題がありました。しかし、HPC(R)技術によりこれらの課題を克服し、極薄コンクリート製品の社会実装が実現しました。
 さらに、四方を海に囲まれた日本の地理的特性を活かし、海水を貴重な資源と捉えた発想で、練り混ぜ水を海水に代替するという斬新かつ革新的なコンクリート製造技術と製品化が実現しました。この技術は、多様性に富む海洋生態系の回復を目指した次世代建材として、社会に提供する野心的な挑戦へと繋がっています。
 現在では、ブルーカーボン生態系の創出を担う技術として注目されており、研究開発や実証試験にも参加しています。これにより、サステイナブルな社会の実現に向けて、さらなる進化を続けています。
 このように、HPC(R)技術は持続可能な未来社会に向けた建設資材分野に新たな可能性を切り拓き、次世代の社会基盤づくりに大きく貢献できる技術です。
■評定取得の背景
 HPC(R)パネルは2014年より、建築物のファサードを機能的かつ美しく彩る縦・横ルーバーや、孔あきデザイン、装飾的要素を取り入れた製品として、多くのユーザーから支持を受けてきました。特に、洗練されたデザインを具体化するアプローチや、建築物の外観にこだわる姿勢が高く評価されています。
 実績の積み重ねとともに、ユーザーからの製品開発要求はさらに高度なものとなり、特に課題のひとつであった耐火性能を有する壁(耐火壁)の開発が求められるようになりました。しかし、建物表皮(仕上げ用途)だけでなく、建築基準法に基づく建築指定材料や大臣認定材料の規定外であるCFCC(R)を使用する製品を、帳壁(非耐力壁)として機能させるには、評定取得が不可欠でした。このため、HPC(R)外壁パネル(帳壁)仕様の本格的な製品開発には至っていませんでした。
 2022年1月7日、大阪・関西万博のパビリオン「河森館」の設計を担当する株式会社小野寺匠吾建築設計事務所(東京都、代表取締役:小野寺 匠吾)から外壁部への採用可否に関する問い合わせがあり、これが大きな転機となりました。この依頼を受け、評定取得を目指す絶好の機会と捉え、同年2月16日にBCJとの初回相談を行い、2月21日には正式に評定申請を行うことで「河森館」採用に向けた製品開発が本格始動しました。
 

                    【河森館:施工中のHPC(R)パネル】

 基本設計スケジュールに間に合わせることを条件に取り組む中で、HPC(R)パネル製造工場のひとつである郡家コンクリート工業株式会社(鳥取県、代表取締役:山根 正樹)が、BCJ特別工法評定委員会の評定取得を達成しました。

・評定件名:HPC帳壁工法を用いるパネル(郡家コンクリート工業株式会社)

・評定番号:BCJ評定ーSS0057-01(令和5年12月11日付)

 順調に進んでいたかに見えた評定審査ですが、審査過程での課題解決に向け、実物大実験や各種試験データの取得が必要となり、日程が間に合わず、当初の外壁部(帳壁)での採用は断念しました。
 しかし、「河森館」のコンセプトに合致する特許技術を活かし、『海水練りコンクリートのHPC(R)壁パネル』として、パビリオンのキューブ状セル部分に正式採用され、多くのメディアから注目を集めました。

                【河森館:キューブ状のセルに取り付いたHPC(R)パネル】

 成果として「HPC帳壁工法を用いるAプラン」の評定審査過程で得られた知見は、研究開発を補完し、技術進化の貴重な基盤となりました。

             【実物大HPC(R)外壁パネル(リブ付き板)の面外曲げ性能実験】


               【実物大HPC(R)外壁パネル(平板)のロッキング性能実験】


             【実物大HPC(R)外壁パネル(リブ付き板)のインサート引抜き性能実験】

 HPC(R)技術は、沖縄発の世界初の技術として注目を集め、グローバルな建材市場での地位確立が期待されています。また、「河森館」プロジェクトの目的だけでなく、耐火壁の大臣認定取得という目標が背景にあり、今回の評定取得を機に、耐火性能が求められる部位でのHPC(R)パネルの使用が現実のものとなりました。
 ■今後の展望
 新時代の耐火壁設計を支えるHPC(R)パネルの活用に、既存の耐火構造認定番号を取得済みの石膏ボード、ロックウール吹付材、耐火被覆材など組み合わせによる耐火壁構造のディテール検討が始まり、新たな用途開発の道が開かれています。
 特筆すべきは、HPC(R)帳壁工法がRC造、S造、SRC造のみならず、CLT構造にも対応可能である点です。この柔軟性により、従来にはない新しい建築デザインや工法の提案が可能になりました。
 さらに、HPC(R)パネルを使用した耐火壁の設計は、コンクリート系外壁パネルの世界では極めて軽い特性を活かし、建物の軽量化に大きく貢献するとともに、建築物の生涯CO2排出量を削減し、環境負荷の低減にも寄与します。

  【建築物の軽量化に貢献したHPC(R)パネル(施工前)】

  【建築物の軽量化に貢献したHPC(R)パネル(施工後)】

 HPC帳壁工法は乾式工法であるため、従来の「スクラップ・アンド・ビルド」に依存せず、建材リユース市場の創出を促進する可能性を秘めています。この技術はサステナブルな建設業界の発展を支えるとともに、HPC(R)パネルの新たな活用領域を切り開く重要な一歩となり、多様な土木・建築ニーズに応える革新的な技術として期待されています。
【株式会社HPC沖縄 会社概要】
社   名:株式会社HPC沖縄
設   立:2014年11月21日
代表取締役:阿波根 昌樹
所 在 地:沖縄県浦添市宮城三丁目2番8号
資 本 金:5,762.5万円
事業内容:HPC(R)技術を活用した極薄コンクリート製品の研究開発
    :HPC(R)技術を活用したプロジェクトソリューション事業
    :HPC(R)技術のライセンス事業

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