石垣で9月10日、「与那国島への自衛隊配備から起こる自然環境への影響」について学習会が行われた。世話人の宮良純一郎さんは「与那国島に自衛隊が配備されるとさまざまな影響があるが、今回は自然環境への影響について考えたい」とあいさつ。
まず元琉球大学農学部助教授の屋富祖昌子さんが「生きものたちの与那国島」をテーマに「島は小さければ小さいほど生態系への影響を受ける。大陸とつながっていた時代の古い歴史を生物が教えてくれる。島に最後に残された自然を破壊してはいけない。残された聖地への最後の一撃となる。自衛隊配備は、私たちの歴史や未来も壊すこと」と話した。
次に元高校教諭の渡辺賢一さんは「与那国島の水生生物」について、今年4月に行った現地調査を報告、「与那国島は、次から次へと新種が見つかる学者にとっては天国のような島。環境省が保護しておきながら防衛省で滅ぼす図式は先進国と言えるのか」と疑問と投げ掛けた。
元小学校校長の宮良全修さんは与那国島の植物の紹介と、1995年に配備予定の樽舞(たるまい)湿地に現れたコウノトリの映像を紹介した。
最後に元石垣市教育長の波平長吉さんは、与那国空港の滑走路が2007年に2000メートルに延長されたことや樽舞に港を建設する動きなどについても触れ、「宝島を守らなければならない。反対の声を発していこう」と呼び掛けた。
聴講した富里八重子さんは「自然の生態系の原点を知ることができた。与那国島は島全体が宝。自衛隊配備は日本の宝が消える。配備は許されない」と感想を述べた。
学習会は、昨年11月に防衛省が与那国島で行った自衛隊配備のための住民説明会を受け、12月に日本昆虫学会など昆虫関係の5学会が防衛省、環境省、沖縄県知事、与那国町長に提出した「与那国島への自衛隊配備計画に関わる要望書」を受け開いたもの。要望書では、絶滅危惧種の中でも特に絶滅の恐れが高い「国内希少野生動植物種」であるヨナグニマルバネクワガタやフチトリゲンゴロウをはじめ、同島のみに分布が確認されている64種の生物の生息地が自衛隊配備予定地と重なることを指摘している。