石垣市民会館(石垣市浜崎町)で12月27日、戦場カメラマンことジャーナリストの渡部陽一さんが「平和と命の素晴らしさ」について講演した。石垣市核廃絶平和都市宣言1周年記念事業として石垣市、八重山地区PTA連合会、石垣島COCO共同組合が共催。
大きな身ぶり手ぶりで情熱たっぷりに語る戦場カメラマン、渡部陽一さん
冒頭には弾の飛び交う戦地から渡部さんがリポートする様子を動画で5分紹介、会場から一斉に「わたなべさ~ん」と呼び掛けると、おなじみのベレー帽とベスト姿の渡部さんが登場した。話し方はテレビの語り口よりさらにゆっくり。単語一つ一つに大きなジェスチャーをして子どもにも分かるように話した。
「どうしてカメラマンの仕事についたのか」「世界中の戦場で出会ってきた子どもたち、戦場の子どもたちの声」について撮影した写真を使って情熱たっぷりに紹介した。
渡部さんは「大学の授業でアフリカの野生動物や民族に興味を持ち、20歳でアフリカに旅行中、内戦に巻き込まれ血だらけになった子どもから助けを求められた。好きなカメラを使ってそんな子どもたちの声を世界に届けたい」と戦場カメラマンになることを決意したという。
「戦争の犠牲者はいつも子どもたち」という言葉を繰り返す渡部さん。劣化ウランで首の回りに腫瘍ができた子どもや、ガラスの破片が目に刺さって亡くなった子どもを紹介。「子どもたちの一番の楽しみは学校に行くこと、1日1回ご飯を食べること、学校の制服を着られることが喜び」と取材から得た現状を、ステージを縦横無尽に歩き回りながら伝えた。
「戦争を止めるには第3の国が間に入り、手を差し伸べること。そして相手の国について一つだけでいいから知り相手の顔を知ること」という。最後に子どもたちに「大きくなったら世界に飛び出し世界の人たちの声を聞いてほしい。それは勉強、仕事、スポーツの大きな支えになる。どこかの国で僕を見掛けたら声を掛けてください。一緒にカフェをして国際情勢を語り合いましょう」と結び、場内から大きな拍手が送られた。