石垣で旧暦7月13日にあたる8月19日、各字会によるソーロン(旧盆)行事「アンガマ」が始まった。アンガマは、グソー(後生=あの世)からの使者であるウシュマイ(爺=じい)とンミー(婆=ばあ)が大勢のファーマー(子や孫)を連れて家々を回り、先祖を供養して子孫繁栄を願うもの。
真栄里青年会(仲山慶政会長)は、高校生を中心とした30人がANAインターコンチネンタル石垣リゾートを皮切りに真栄里地域の民家を中心に回る。
同リゾートロビーでは、宿泊客や駆け付けた市民を前に「真栄里節」から始まり、八重山民謡に合わせて顔をサングラスや白い布で隠したファーマーが次々と踊りを披露し拍手を受けた。
曲の合間には、ウシュマイ、ンミーと見物客によるユニークな珍問答が行われた。「何で沖縄は旧暦にお盆行事をするのか」という問いに「日本全国一斉にお盆行事があって混むから沖縄だけ旧暦にやることにした」と回答。「たくさんのファーマーはみんなおばあちゃんが産んだのか」の問いにンミーは「そうだ。これ以上産むと飛行機に乗らんからもう産まない」と答えた。互いに甲高い声で話すのが特徴で、通常は方言で会話するが、ここでは観光客も多いためか標準語で会話した。
八重山民謡は、「繁盛節」「桃里節」「うりずん」「目出度節」「まみとーま」「鳩間節」など14曲を披露、最後にはモーヤー(乱舞)で見物客も踊りに加わり、締めくくった。
京都から移住したばかりという男性は「初めて見た。京都では伝統芸能はほとんど見掛けなくなったが、石垣では若い世代に受け継がれており、素晴らしい」。ウシュマイに頭をなでられ、面が怖くて泣き出してしまった2歳の男の子の父親は「珍問答が楽しかった。子どもは自分のことを『よく頑張ったと言っている』」と笑った。
アンガマはウークイ(送りの日)の8月21日まで。その後アンガマトゥズミが開かれる。