石垣でそばや定食などを提供する「いちゃりば」が10月30日で地元客に惜しまれつつ閉店した。同店は2010年9月に開店、半年間営業した後、はす向かいに移転、計3年2カ月の間に多くの利用客の心をつかんだ。
店名は「一度会ったら皆兄弟」という沖縄のことわざ「イチャリバチョーデー」から引用、同店に食事に行くことを「いちゃる」と表現する客も。
當山和喜さん、弥希さん夫婦2人で営んできた。和喜さんは県立中部商業を卒業後、鹿児島に渡り、2年間大学に通った。その後居酒屋に勤務、料理の腕を磨く。3年目から大型居酒屋店の店長を任され、5年間勤務、新規店の立ち上げなどを経験したという。当時付き合っていた石垣島出身の弥希さんと6年前に石垣に戻った。
閉店の理由は、弥希さんの3子出産のため。今後は土地勘のある鹿児島に戻り、和喜さんは以前の職場に戻る方向で検討している。
人気メニューの「ソーキそば」は、オープン前には近所の「おばぁ」からアドバイスをもらい、「味を完成させた」という。「味付けは、しょうゆ、砂糖、みりんでシンプルにしたが、ソーキに味がついているので、汁とのバランスを取るのに苦労した」という。
骨まで柔らかくする作り方を聞くと「2時間煮込んだ後、2時間圧力鍋にかけている」。一杯500円で営業できたのは「仕入れと工夫で安くできた」というが、それ以上を聞くと「企業秘密」と最後まで明かさなかった。
3年間で印象に残る記憶を聞くと「鹿児島の友人が1週間石垣に遊びに来てくれた時はうれしかった。本土から来た友人を連れての来店や、有名人の来店もうれしかった」と振り返り、「今まで利用していただき感謝したい」と和喜さん。
最終日に訪れた女性の常連客2人は、「1人で来ても入りやすかった。安いのでよく利用させてもらった」「上等なソーキそばをワンコインで食べさせてくれる店は八重山では他にないのでは。閉店は残念の一言。今までありがとうございました」と和喜さんに花をプレゼントした。