石垣で大潮の干潮時にのみ受粉する海草の一種「ウミショウブ」が7月12日に観察され、多くの人がその不思議な光景に目を奪われた。
ウミショウブは、国内では石垣島を北限に観察できる熱帯・亜熱帯の海草。水深が浅い場所にショウブの花のように生える。受粉は初夏から秋の大潮の干潮時にのみ観察できる。
石垣ではこの日13時27分が干潮時刻で潮位は17センチ。この時刻を過ぎるとどこからともなく雪だるまのような形をした米粒ほどの大きさの雄花が海中から浮き始めた。その形から「海の妖精」と呼ぶ人も。雄花は水面を風に吹かれて走り始め、運良く雌花に引っかかるとその内部にはまり、潮が満ちるにつれて花が閉じ、受粉する仕組み。
この日、多くの雌花は水面より低い場所にあり、数カ所でしか受粉する様子が観察できなかったが、翌13日は14時10分に潮位が14センチとさらに低くなることから「水面が雄花で白く広がる可能性がある」とも。
地元で自然体験ツアーを行う「エコツアーふくみみ」の大堀健司さんは「数年前まではウミショウブを観察する人はほとんどいなかったが、今年は多くの人が関心を持ち、観察に訪れた。今後はウミショウブを踏まないように観察するなど保護の意識をもち、地域の宝物になれば」と話す。
70代の地元の女性は「テレビで見て知ってはいたが、初めて見て感動した。もっと大きいものだと思っていたが、あまりにも小さく、また風ですぐに動いてしまった」と興奮して話した。