11月16日(旧暦10月19日)に始まった与那国最大の行事「マチリ」が、12月10日(旧暦11月13日)のアンタドゥミで幕を閉じた。
マチリ(カンブナガ)は与那国島の存続と繁栄を祈願する大切な祭司で、神が降りてくるという神の月(カンヌティ)に行われる。カンブナガは神の節という意味で、一年の最後を締めくくる行事。与那国島では、旧暦の10月以降の庚申の日に行われるクブラマチリから癸未の日に行われるンダンマチリが終了する日までの25日間をカンヌティ(神の月)という。
島の人々は昔からマチリの期間中、四足の動物、特に牛の屠殺(とさつ)や食肉を禁じている。理由についてはさまざまな説が語られているがそのひとつとして、昔から生活の中で農耕や交通を助け人々の暮らしに欠かせなかった牛や動物を敬い、感謝してマチリの期間中は屠殺しないというものらしい。そのほかにも火事見舞い、葬祭見舞い、出産見舞いなどを努めて避ける。
クブラマチリ(久部良公民館主催)では庚申の日に異国人退散を、ウラマチリ(東公民館主催)では辛酉の日に牛馬繁殖を、ンディマチリ(比川公民館主催)では甲子の日に子孫繁栄を、ンマナガマチリ(島仲公民館主催)では壬午の日に五穀豊穣を、ンダンマチリ(西公民館主催)では葵未の日に航海安全を、5つのマチリでそれぞれ祈願する一連の祭事である。マチリは与那国島の存続と繁栄を祈願する大切な祭祀。司(ッカブ)、公民館長、公民館役員が中心となり各マチリの祭場となる御嶽を回り、祈願し舞踊などを奉納する。
ンダンマチリを終え、すべてのマチリが終わるとアンタドゥミと呼ばれる儀式が行われ、司らは神衣を脱いで人間に戻り、それと同時に期間中の禁忌も全て解かれる。
このマチリを終えると、島は正月の準備に入る。