石垣市登野城地区の神行事の中心である天川御嶽の拝殿新築落慶式が6月27日、大勢の地域住民を集めて行われた。
同御嶽は登野城村の鎮守の神として崇拝され、豊年祭や海神祭をはじめ雨乞いや疫病除けの祈願祭など数々の神行事が執り行われる場所。1874(明治7)年にかやぶきの拝殿が建てられ、1897(明治30)年にかわらぶきに改造。その後1921(大正10)年と1963(昭和38)年に改築された。以来47年が経過し、老朽化が進んで諸行事に支障を来すようになったことから2008年3月に天川御嶽拝殿新築事業期成会を設立。事業費としての募金を呼びかけるなど準備を進め、1年3カ月を経て完成した。
拝殿は木造で寄せ棟式。1,500万円の寄付が集まり、73年が経過して損傷が激しかった鳥居も新しく建立された。拝殿前とイビ(神域)入口にある灯籠(とうろう)各1対は寄贈によって新しくなり、屋根瓦奉納には854人が協力し、全1,152枚に住所と名前を書き入れて屋根に乗せた。
落慶式典で同期成会の伊波剛会長は「新築された拝殿の下で豊年祭をはじめ、12年に1度の結願祭を迎えることができるのはこの上ない喜び。物心両面から支援いただいた皆さまに感謝とお礼を申し上げる」と述べ、高額寄付者や工事関係者らに感謝状を贈呈した。
そして登野城ユンタ保存会が家を新築した際に歌われていた古謡「マツンガネユンタ」を歌い、家内安全や繁栄を祈願する「ユイピトゥンビーリ」が古式ゆかしく行われた。現在は行われなくなった風景に、集まったお年寄りたちも懐かしそうに見入っていた。
祝宴では目出度い舞踊が次々と披露され、地域を挙げて拝殿の完成を祝った。