海岸に漂着した発泡スチロールを燃料にしてクリスマスイルミネーションをともす公開実験が12月24日、与那国島で行われた。
離島では海岸に漂着する大量のゴミ問題をどこの島も抱えている。八重山諸島も深刻な問題で、竹富町鳩間島では昨年度から日本財団と日本海難防止協会が支援する一般市民主導の海岸漂着ゴミ対応プロジェクト「宝の島プロジェクト」がスタート。漂着ゴミの一部である発泡スチロールを油化装置によってスチレン油(可燃性の液体)に変換しエネルギーとして有効活用する試みが行われている。
今回、与那国島でも「あびゃるちま(美しい島)どぅなん(与那国)プロジェクト」として、新型油化プラント(車両移動式油化装置)による公開実験が初めて行われた。与那国島は季節風や海流によって漂着ゴミの通り道となっており、大量のゴミの回収、処分の問題は長年にわたる島民たちの課題。同プロジェクトでゴミ問題や省エネ対策はもちろん、このエネルギーを利用した起業、離島の活性化も期待される。
島では前もって海岸清掃を行い、発泡スチロールを回収。当日、会場の与那国小学校グラウンドには発泡スチロールを手に我先にと油化装置の前に列を作り、発泡スチロールが燃料になって抽出される様子を興味深げに眺める子どもたちの姿が。その後、スチレン油を燃料の一部に利用して発電機を稼働し、綿菓子作りとクリスマスイルミネーションの点灯を行った。
「自分たちが回収したゴミが燃料になり、何かに活用されるなんて考えたこともなかった」と話す参加者。今後この取り組みが拡大され、島の美観維持や省エネに大きく貢献することに期待を寄せている。