八重山の豊かな自然環境を楽しむ「石垣島サンゴウィーク」が3月3日、スタートした。初日は石垣やいま村(石垣市元名蔵)で自然観察会と植樹の「ハッピーエイトカーボンマイナスツアー」が行われた。
市商工会が推進する「いしがきブランディングプロジェクト」の一環として2009年にスタートした同ツアー。持続可能な観光産業と地域内経済循環によって島を豊かにすることをコンセプトに、二酸化炭素(CO2)削減のための植樹ツアーや観察会などを開催している。
やいま村でのツアーは今回が初めて。兼島英樹社長は「八重山は昔から自然が豊かな所として知られるが、今回その自然を知る良い機会になるのでは」とあいさつ。ツアーでは石垣島自然観察の会の谷崎樹生会長を講師に迎え、2005年にラムサール条約の登録域となった名蔵アンパルへ向かう自然探路や村内施設を散策しながら、八重山に生息する動植物や自然への理解を深めた。
「自然を理解していないと自然を滅ぼしてしまう。ぜひ自然観察の面白さを知ってほしいし自然観察を文化として根付かせたい」と谷崎さん。施設内に植樹されたヤシの発祥起源や周辺地形に見られる段丘の分析、マングローブ林に生息するシャコ貝の生態やたまったブラックウオーター(有機物が分解しきれず残った黒褐色の水)、八重山の水牛の起源や路面に使われたコーラル舗装の説明など、幅広く解説。参加者は「それは食べられるのか」「茎の中身は細かいのか」などの質問をしながら、熱心にメモを取っていた。
最後には防風林に適しているというフクギの記念植樹も実施。参加者らは丁寧に苗や種の植え付けを行い、環境保全への思いを込めた。
谷崎さんは「防風林には作物を風害や塩害から守るほか、表土の飛散を押さえ、地温の上昇や土壌の乾燥の防止など、さまざまな効果が期待できる。20年後には島中の畑をフクギ防風林で囲み、山と海をその緑の回廊でつなぎたい」と熱意を語った。
参加した市内在住の和田真実さんは「これまで何気なく見ていた植物に歴史を感じたり初めて知ったりすることも多く、とても興味深かった。フクギ植樹も初めての体験だったが、とても貴重な事だと実感した」と話した。