リゾートや温泉旅館の再生事業、ホテル運営を手掛ける星野リゾート(本社=長野県軽井沢町)が6月1日、竹富島に「星のや」ブランド3番目の拠点となる「星のや 竹富島」(竹富町)を開業した。
コンセプトは「離島の集落」。島の東部にある6.7ヘクタールの敷地が一つの集落を形成しており、48棟の客室やまちなみは島内の景観に従った伝統的な建築になっている。
琉球赤瓦の屋根を配した戸建ての客室は石垣に囲まれ全て南向き。石垣も珊瑚石を一つ一つ手積みしたもので「竹富島の文化、生活様式を聴き取り、台風など気候に対する昔ながらの知恵を取り入れた」と同社広報の西山るかさん。白砂の路地はどこも曲線になっており、道幅も「14~5世紀ごろの資料を基にした」という広さに。
このほか敷地内にはレストランやラウンジ、プール、スパ、テラス、見晴台も備える。見晴台からは集落が一望できるが「竹富島に住んでいるように滞在してもらいたい。そのためプールなどの施設は見えない構造にしている」。ミンサー織りのクッションや島の陶芸家が焼いた陶器など、島民手作りの工芸品も飾る。
当日は宿泊客や関係者らを集めてオーニングセレモニーが行われ、ホテルスタッフが仕込んだ泡盛で鏡開きを行った。星野佳路社長は「文化リゾート」を強調。「観光ポテンシャルとして文化や風景、地域の魅力をいかに生かしていくかが沖縄には大切。『食』も日本の観光で大きな要素であり、新しい形で提案していきたい」と話す。「開業してめでたいというより、ようやくスタートラインに着いたという思い。これまでいろいろあったが、この自然に癒やされ、風土や雄大さに勇気づけられてきた。この土地の力を信じて頑張っていきたい」と決意も。
東京から来たという大塚雅(ただし)さんは最も早く予約を入れた客として鏡開きに参加。「星のや」のファンである娘の奈緒美さんが父の定年を記念して申し込み、妻の智恵子さんと3人で訪れたという。「(雨の予報だったが)晴天にも恵まれ一生忘れられない日になった。初めて見た風景で来たかいがあった」と雅さんは喜びの表情を見せた。