大濱信泉記念館(石垣市登野城)で、ハンモック展「小川茂展~ナツが遺(のこ)した流木でハンモックを編んだ。~」が開かれ、館内の吹き抜け空間に展示された色とりどりのハンモックが訪れた人を魅了した。
小川さんはハンモックの手編み歴30年以上。全国で個展や手編み講習を行っており、島内でのハンモック展は2009年に続き2度目となる。前回は浜辺に漂着した流木にしつらえたハンモック展だったが、今回展示のハンモックには、米原地区のペンションで飼われていた犬「ナツ」が海から拾ってきたものを使った。流木には、くわえた際にできた歯形も残っている。
以前は名古屋で商品企画などを手掛けるデザイナーだったという小川さん。「これまで人の注文に応えて飾りをたくさん作ってきたが、世の中の産業構造から離れたこういうものを作るのもいい」と話す。「ハンモックは本来飾りではなく生活の道具として使われるもの。路上寝込みも多い石垣の風土なら、ハンモックも本来の用途で使われるのでは」と笑顔を見せる。
期間中、手編み講座も開催。市内にある小川さんのギャラリー「PANARI(パナリ)」(石垣市大川232)では、ハンモックやロープの基礎知識からロープの編み方まで実践を加えた講習に、参加者らが楽しそうに学んでいた。
福田小紋さんは完成したロープの結び目を持ち、「楽しかった。これを自分でできたというのがすごい」と話した。今田敦之さんは「原始的な技術が学べた。普段意識していなかったが、実際やってみると奥深かった」と感慨深げに話した。