石垣で9月14日、琉球大学名誉教授の上里健次さんによる「アルゼンチンの動植物と自然景観」についての講演会が行われた。
上里さんは2009年10月から2011年9月までの2年間、国際協力機構(JICA)のシニアボランティアとしてアルゼンチンに滞在した。講演では、滞在都市のコリエンテス市や国内各地で撮影した128点の写真を紹介した。
アルゼンチンは南北4000キロに広がり、800キロの直線道路、北海道6個分の平原があるなど、その雄大さを紹介。反面、街中でカメラを安易に向けていると盗難に遭う可能性が高くなるなど、治安の悪さには細心の注意を払ったという。
観賞植物学園芸学が専攻ということもあり、沖縄とアルゼンチンの樹木を比較しながら説明。首都のブエノスアイレスには、30メートルもの大木が街の至る所にあるなど、「スケールの大きさに感動した」という。木全体がピンクの花で覆われ、樹形が良く、幹に着生ランが咲くことも。「年間の気温差が激しいから」という。
休暇を使ってイグアスの滝やペリト・モレノ氷河、イビラ湿原などさまざまな風光明媚(めいび)な場所を訪れ、その道中で出合ったフラミンゴやワニ、オオトカゲ、カピバラ、黄金の魚「ドラード」などの生物も紹介した。さらに、ホバリングする小さなハチドリや顔が赤いチュリンチュ、黄色い大きなくちばしのトーカンなど、色彩にあふれた鳥が紹介されると、会場からその珍しさにため息が漏れた。
最後に若さの秘訣(ひけつ)を聞かれた上里さんは「人が興味を持たないことにも首を突っ込むこと。世界各地を研究で回り、好奇心を満たすことができた」という。「この経験が故郷の八重山で少しでも役に立てれば」と締めくくった。