国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点(熱研)による第29回熱研市民公開講座が1月29日、石垣市健康福祉センター(石垣市登野城)で行われた。
世界の食料の未来のために熱帯・亜熱帯地域の農作物の技術開発を進めている熱研が、市民との相互交流の一つとして、研究内容や成果などを紹介するもの。今回は「日本における大豆品種の開発」をテーマに、熱研拠点所長の松永亮一さんが講演を行った。
講演では、大豆の品種開発の現状について紹介。大豆の特徴や性質、世界的な情勢を説明した上で、日本の大豆輸入量の4分の3を占め、世界の大豆生産量の首位であるアメリカでは9割以上が除草剤「ランドアップレディ」に抵抗性がある遺伝子組み換え大豆であり、国内でも製油や食用として利用されていることなどを解説。価格が安い外国産に対峙する国内産大豆は、病害虫抵抗性や湿度などに対応するストレス耐性、機械化に適応できる機械化適性の向上品種などへの改良が求められていること、研究室の中で開発が可能なDNA解析により、さまざまな品種育成への取り組みが行われていることなどを紹介した。松永さんは「若干価格は高いかもしれないが、品質の良い国産大豆もよろしくお願いします」とPRし、「世界には低栄養状態の人が非常に多くいる。輸入に頼る日本の食料自給率は50%を切るが、皆さんが無駄を抑えるだけでも自給率は高められる」と身近な食料事情への問題点にも言及した。
講義の後には質疑応答も行われ、「大豆の田作は可能か」「サツマイモの後作で枝豆を作ることはできるのか」「宮古島から大豆の種を買ってきて植えようと思っているが、どうでしょう」などの質問が挙がった。中には「なぜ豆腐は大豆っていう豆で作るの」といった子どもからの素朴な質問も挙がり、幅広い参加者が講演内容に関心を寄せている様子がうかがえた。