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石垣市が「防災講演会」-災害時、まち救うのは「近助」

会場はほぼ満席となり、市民の災害への関心の高さがうかがえた

会場はほぼ満席となり、市民の災害への関心の高さがうかがえた

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 石垣市主催の「防災講演会~地域防災力向上を目指して~」が1月18日、石垣市健康福祉センター(石垣市登野城)で開かれ、石垣市自主防災会協議会や防災関連機関、自治公民館などの関係者らが防災対策への理解を深めた。

被災経験をもとに災害への備えを力説する稲垣暁さん

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 地域の防災力を高めるため自主防災組織の育成に取り組んでいる石垣市では、現在16の自主防災組織が結成されている。同講演会は、自主防災に関する研究成果や先進事例を通して個々の組織が効率的な活動強化を図り、災害に強いまちづくりにつなげることが狙い。

 講演では、沖縄大学地域研究所特別研究員の稲垣暁さんが「災害時の『自助・共助・近助』と課題~現場から」と題して講演。阪神淡路大震災で被災した稲垣さんは、「地域では高齢者同士が助け合うしかない」「災害時は緊急メールにも限界がある」「男性中心の社会構造では女性の被災に意識が向かず、負担が多い」といった、近年の災害対応や地域防災における課題、「夏場の暑い沖縄では豚汁はかえって過酷」など防災訓練での盲点などを、被災地の具体的な事例や検証を交えて説明。その上で、自治会や公民館などの普段からの住民つながり=「近助(きんじょ)」が肝要であるとし、どこにでもある住民組織が災害時に思いがけない働きをし、まちを救うことを力説した。

 続いて、沖縄県糸満市にある「西崎ニュータウン自治会自主防災会」の副会長を務める古我知進さんが登壇。東日本大震災時の生々しい映像を公開し、震災への備えに喚起を促すとともに、古我知さんが所属する自主防災組織の概要や活動内容、訓練の様子を紹介し、沖縄でも起こりうる地震津波災害に普段から意識を持ち、「ゆいまーる(相互扶助)」精神を持って地域で備えることの重要性を説いた。

 聴講した市内在住の63歳男性は「災害についてはどうしても普段忘れがちだが、生の映像や声に触れることによってしっかりしなければという気持ちになる。地域での助け合いが大事だとあらためて感じた」と話した。

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