石垣島の独自の染織を紹介する「深石美穂展」が3月21日から4日間、銀座もとじ(東京都中央区)で開催される。
深石美穂さんは福島県出身。東京から石垣島に34年前に移住し、八重山の伝統織物・ミンサー織りに携わった後、絹織物に傾倒していった。1982(昭和57)年に川平湾近くに工房「からん工房」を開き、「川平織」と命名した絹織物を製作している。
2006年、日本伝統工芸染織展でかすり織着尺「丸文格子」が日本工芸会会長賞を受賞。2011年には、「市松花絽織」と命名された市松に絽(ろ)と花織を配した織物の作品「花霞(がすみ)」が、日本伝統工芸染織展文化庁長官賞を受賞した。
同展は、それら作品のお披露目を兼ねて開催。これまで製作した作品を、問屋などの協力の下回収し、紹介する。着物や着尺、帯など約20点を展示する予定。
都内の個展に先駆け、石垣市立図書館展示ホール(石垣市浜崎町)でも個展「彩の陰影を織る」が開催された。フクギやガジュマルなどの地元の植物を用いた草木染や自然の素材で染められた絹で、かすり織りや市松花絽織といった独特の風合いに仕上げられた作品に、訪れた人はすっかり魅了されている様子だった。
深石さんは作品について「石垣島の強い光がもたらす物の影が魅力的。それが知らず知らずのうちに織布に表現されていたのかもしれない」と振り返る。「絹で透かし柄が入ったものを広く知っていただきたい」と来場を呼び掛ける。
開催時間は11時~19時。入場無料。今月24日まで。23日10時~11時には深石さんによるギャラリートークも予定する。問い合わせは銀座もとじ和織(TEL 03-3538-7878)まで。