石垣で野生化したカピバラが見つかり話題を呼んでいる。カピバラは、本来南アメリカ東部アマゾン川流域を中心とした温暖な水辺に生息する世界最大のげっ歯類。
石垣で昨年3月に大雨が降った際、近くの観光施設から逃げたと見られるが、環境省石垣自然保護官事務所によると「観光施設は逃げられたとは言っておらず、持ち主からの申し出はない」状況という。
当初の発見場所は新川川流域で、昨年5月に川花橋付近で石垣市消防本部が捕獲を試みたが失敗。八重山福祉保健所は12月から3カ月間、大型犬用のわなを仕掛けたが、捕まえられなかった。今年1月に新川川河口で撮影した情報があるが、その後、目撃情報が途絶えていた。
今月2日、年間を通じて鳥の観察を行っている中本純市さんが新川川河口から直線距離で7キロ離れた名蔵側流域でカピバラを撮影、9日にはそこから2キロほど上流でも発見し、ブログに写真を掲載した。
中本さんは「鳥がパニックになったような声で鳴いているので見てみると、川の中で大きな魚が動いたように見えた。しばらくすると20メートルくらい離れた場所にカピバラが浮上、草むらに上がると1メートルくらいの大きさでイノシシのように見えた」という。
「その後、草むらの中に入って動きがないため、恐らく寝ているのだろう。その草を食べていれば不自由はないはず。新川川からここまで陸上を移動するとは思えず、一度海を泳いで観音崎を回り込み、名蔵川河口まで北上してから遡上(そじょう)したのか、それとも新川川とは別の個体なのか」と推察する。
同事務所担当者は「今のところ一度に観察したのは1頭なので繁殖の恐れはなく、自然への影響は限定的だが、石垣では外来種のイグアナやクジャクが野生化した例もあるので注視し、捕獲に向けて動きたい。捕獲したら拾得物として警察で保護した後、名護のネオパークオキナワで引き取る予定」と話す。
愛らしい姿と動きで国内では100カ所以上の動物園などで飼育され、小樽、徳島、福井などでは脱走の報告があるが、いずれも捕獲に成功している。