6月23日の「慰霊の日」を前に、八重山各地の小中学校では平和集会が開かれ、児童生徒らが平和への祈りをささげた。
太平洋戦争末期、住民を巻き込む地上戦が行われた沖縄では、日米両軍・民間人計20万人余りが死亡。八重山地区では強制移住により住民の半数がマラリアに罹患(りかん)し、3647人が犠牲になったといわれる。
毎年この時期になると郡内各地で平和集会が行われるが、戦後69年を迎え「語り部」が少なくなっている昨今、音楽の力で戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶ学校も増えている。
登野城小学校では18日、浦崎喬校長が作詞作曲した「太陽(ティダ)のめぐみ」「六月の祈り」を、同校出身で民謡歌手の金城弘美さんと共に披露。沖縄戦を描いた映画「GAMA月桃の花」の挿入歌「月桃」を全校生徒で歌い、平和の尊さを再確認した。
海星小学校では19日、戦争体験者の黒島春さんによる講話が行われ、戦時中の生活などが紹介された。集会では、同校25期生の歌手・平得美帆さんが歌声を披露する場面も。平得さんはオリジナル曲の「レクイエム」「大切な家族」などを歌い、身の回りの人への思いやりの心や命の大切さを訴えた。
真喜良小学校では20日、声楽家の田本徹さんによる平和コンサートのほか、児童・生徒平和メッセージ展の詩の部で最優秀賞を受賞した同校3年の増田健琉さんによる詩の朗読も行われた。
同日、白保中学校では全校生徒58人が「平和の鐘」を熱唱。集会では波照間督起教諭が戦争マラリアについてスクリーンを用いて説明し、生徒らは八重山特有の間接的な戦争被害についての理解を深めた。続いてシンガー・ソングライターの前花雄介さん、三線奏者の前津由喜美さん、パーカッショニストの松野智憲さんによるライブも。マラリアにより島民の3分の1が犠牲となった波照間島にまつわる戦跡「忘勿石(わすれないし)」を歌ったオリジナル曲などを披露し、戦争の悲惨さと命の尊さを訴えた。
そのほか、郡内各校ではそれぞれ独自の平和集会が行われ、戦没者の冥福を祈るとともに平和への誓いを新たにした。
宮良小学校6年の嵩原美優さんは「ライブの平和集会は初めてだったが、音楽が好きなのでとても良かった。歌声が心に響いた」、白保中学校2年の川平航太さんは「忘勿石は誰が書いたのかなど詳しく分かる内容で勉強になった。演奏は最初から泣きそうだった」とそれぞれ話していた。
23日は石垣市主催の「八重山戦争マラリア犠牲者追悼式」が15時から八重山戦争マラリア犠牲者慰霊之碑(石垣市石垣)で、「石垣市全戦没者追悼式・平和祈念式」が16時から八重守之塔(同上)で実施される予定。