河川でのレジャーなどで感染する「レプトスピラ症」が現在、石垣島や西表島で急増しており、平田家畜病院(石垣市登野城)で9月26日、注意喚起を促す記者会見が行われた。
同感染症は沖縄県内で毎年7~9月に多く発生するもので、「病原性レプトスピラ」という細菌の感染によって引き起こされる人畜共通感染症(ズーノーシス)。ネズミやマングースなどの野生動物に潜んでおり、保菌動物の尿に汚染された土壌や水との接触により経口・経皮感染を引き起こす。県内ではネズミ、豚、犬などから多く検出されており、人から人への感染はほとんどない。
9月26日現在、人への感染は県内で19件確認されており、うち18件が八重山での感染。その中の3件は本土に戻った観光客が数日後に発症したものとなっている。
3~14日の潜伏期間があり、突然の頭痛、38度以上の発熱、筋肉痛、結膜充血などが主な症状。重症化すると黄疸や腎障害などが見られ、治療が遅れると致死的経過をたどることもあり、2006年には八重山で1件の死亡例も。多くは抗生物質による早期治療で比較的軽症で完治する。
八重山獣医師会の平田勝男会長(平田家畜病院)は「感染者の多くが地元のカヌーガイドなど観光業従事者。傷口があればお互いに水辺を避けるよう注意を呼び掛けるなど、周知して頂きたい」と話す。ペットについては「八重山はワクチン接種に関して理解を示す飼い主さんが少ない傾向がある。100%ではないがレプトスピラを予防できるワクチンがあるので、水場へ連れて行く場合に注意するほか、ワクチン接種を積極的に行ってほしい」と呼び掛ける。
9月上旬に罹患した犬を診察したたまよせ動物病院の土城勝彦獣医師も「ペットから人間に感染するということは原則無いと思うが、型の一致するワクチンを接種すれば予防できる病気。犬の場合は症状が出ると約8割が亡くなる怖い病気なので、まずは飼い主の皆さんにしっかり知ってもらいたい」と飼い犬へのワクチン接種の重要性を強調した。
罹患者の急増について、八重山保健所の宮城雄一さんは「雨が降った後に汚染土壌が流れ込んだ河川などが危険だと言われているが、今年は雨が少ないため逆に汚染水が滞留しているのが原因なのでは」と推測する。保健所では、「川遊びをした後や畑、水田、山林などで作業した後3~14日以内に発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出たらすぐに医療機関を受診し、川遊びなどの状況を伝えてほしい」と呼び掛けている。
予防法は以下の通り。1=皮膚に傷がある場合や調子の悪い時(免疫が低下している状態)は河川での遊泳を控える。2=河川や滝などの生水はそのまま飲まない。3=水田、山林で作業をする場合は長靴や手袋を使用し、土や水との直接的な接触を避ける。4=捕獲したネズミなど、素手での野生生物との接触を避ける。
同感染症は冬場にも確認されることがあるが、水遊びをする機会の多い10月頃まで発症が多く見られるという。