文化審議会(宮田亮平会長)は6月19日、「登録記念物(名勝地関係)」に石垣島御神崎(うがんざき)を、「史跡名勝天然記念物(名勝)」として於茂登岳(おもとだけ)の南側斜面一帯を既に指定済みの「川平湾及び於茂登岳」に追加するよう下村博文文部科学大臣に答申した。
御神崎は屋良部半島の北に位置する岬で、周囲を緑色擬灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)の絶壁が取り巻き、西表島を望むことができる景勝地。特に半島北端部の岬は神が降臨する聖地として石垣島の人々の崇敬を集めている。岬の北側約20メートルの海中に「ブナリツブルイシ(姉の頭石)」と呼ばれる岩があり、大酒飲みの弟をいさめようとした姉が逆に切りつけられ、その頭が動かぬ岩と化したという民話が残っている。
石垣島西北海岸のサンゴ礁の切れ目から内陸に入り込んだ「川平湾(かびらわん)」と、川平湾の東南に位置し、沖縄県最高峰の「於茂登岳(おもとだけ)」(525.8メートル)は、1997年9月11日に「史跡名勝天然記念物(名勝)」に指定されている。今回追加されたのは、於茂登岳の南側斜面一帯で、セマルハコガメやサキシマスオウノキの群落など、亜熱帯特有の希少な動植物が多く生息。既に指定されていた地域と共に一体的な保護と保存、活用などを図ることが必要と判断されて追加指定された。
今回の審議・議決を得て、史跡名勝天然記念物の新指定は12件、追加指定30件、登録記念物の新登録は3件、重要文化的景観の新選定3件が文部科学大臣に答申された。官報告示の後の、史跡名勝天然記念物は3163件、登録記念物は95件、重要文化的景観は50件となる。