石垣市のまちづくりと観光・産業振興を目的とする「新しいツーリズムを考える・まちづくり勉強会」が2月29日、石垣市商工会ホール(石垣市浜崎町)で開催された。主催は石垣市と独立行政法人都市再生機構。
日本の大学で初めてヘルスツーリズム論を開講した琉球大学の荒川雅志教授が講師を務めた。同教授は「人口増加率3.0%でトップの沖縄県も、離島に関しては人口が減っているし2025年からは沖縄県の人口も減少。日本全体で考えれば、市町村の半数が消滅すると予想されている。地域生き残りのために、人口流出を押しとどめることが基本ではあるが、旺盛な経済活動が期待できる交流人口を呼び込むことも効果的で、その一つとして観光事業が大きな力になる」と話す。
「社会のマジョリティーは若者からシニアと高齢者移行。この層が動かすマーケットはとても大きく、その価値観はカルチュラルクリエーティブス(生活創造思考)と呼ばれている」と説明。
そうした背景から、生活文化産業のテーマに「健康・環境・観光」(新3K)を挙げる。「健康志向、スロー志向で、自然に触れる農的生活や地産地消の食事を楽しみたい層が主流となり、テーマ性の強い体験型・交流型の要素を取り入れた新しいタイプの旅を求めている。こうしたことから石垣や八重山エリアには大きなチャンスは来る」と強調した。
具体的な方向性として、「旅行会社・交通・宿泊・飲食・レジャー・教育と、医療と福祉を融合させた商品を開発すればよい。宿泊型の保健指導プログラム、島巡りスピリチュアルツアー、事業者に義務化されたストレスチェックを行うメンタルヘルスツアー、体の不自由な祖父母世代も一緒の三世代家族旅行などがある。これらの商品を実現することによって、石垣を何回も訪れてくれる交流人口が増えて潤うだろう」とまとめた。