沖縄県水産海洋研究センター石垣支所(石垣市川平)で7月2日、養殖用ヤイトハタの稚魚に対するワクチン接種が初めて実施された
沖縄県ではマダイ・ハマフエフキ・スギといった魚が養殖されており、ここ数年ではヤイトハタ(方言名でアーラミーバイ)の養殖が注目されている。同センターでは毎年20万尾ほどの稚魚を配布できる体制を整えてきたが、配布数に見合う養殖生産量が上がっていないのが現状。一つの原因として、イリドウイルス感染症による被害が考えられている。石垣でも6年前に発症した際には約6割が死亡した。それに伴い、同センターでは阪大微生物研究会と共同でヤイトハタに対するイリド不活化ワクチンの有効性を実験。今年1月に農林水産省によりワクチンの使用承認を得ることができた。
今回は実際に養殖される稚魚に対してワクチンを接種し、養殖漁業者へ出荷した。ワクチン接種作業には講習を受けた地元の養殖漁業者も参加。約1万5,000尾のヤイトハタの稚魚に1匹ずつワクチンを注射していった。
ワクチンは1本(500ミリリットル)で5,000尾分を用意。本来は、約16万円かかるが、現在は試験期間のため、無償となっている。1~2年はこの体制を実施しながら、ワクチン普及を図っていく。
沖縄県八重山農林水産振興センター農林水産整備課漁港水産班の中村勇次さんは「5人の地元養殖漁業者にはワクチン接種をした稚魚と、していない稚魚を購入 して比較試験を実施してもらう。どのような効果があるのか現場での意見を聞きながら、今後の養殖の生産安定化や生産量増加につなげていきたい」と話す。