海岸漂着ごみのうち、容積で約40%を占めると言われる発砲スチロールを新エネルギーに再利用する取り組みが、竹富町鳩間島で11月からスタートする。
日本海難防止協会が漂着ごみ対策の一環として、日本財団の支援を受けて進める「鳩間島・宝の島プロジェクト」。取り組みは、鳩間島をモデル地区に、漂着ごみを再利用し、海岸の美化や省エネ対策に役立てる社会実験で、油化プラントを島内のごみ焼却炉の敷地内に設置し、泡スチロールからスチレン油を抽出する。1日8時間の運転で、80~90キロの発泡スチロールを処理し、約60キロのスチレン油を抽出できるという。
スチレン油は、ガソリンなどと同じ引火性の液体で、ディーゼルエンジンやボイラー、さらにはごみ焼却炉や油化プラント本体の燃料として使用できる。同協会は「ごみ由来のエネルギーを利用した起業も期待される」としている。
事業期間は2年間で、初年度となる今年度は油化技術や、抽出したスチレン油がディーゼルエンジンなどで正常に使用できるかどうかなどを調査する。来年度は離島を抱える自治体の関係者を招いたシンポジウムを西表島で開き、鳩間島での視察も行うなど、事業成果の全国展開を目指す。
9月9日は、同協会の大貫上席研究員が町役場を訪れ、川満栄長町長に協力を要請。「離島を宝の島にする。邪魔者だった漂着ごみを通じて、島全体の活気を取り戻したい。全国の自治体にとっても『鳩間島モデル』が漂着ごみ問題解決の糸口になるのでは」と話した。
鳩間島ではすでに、NPO法人「南の島々(ふるさと)守り隊」(浦崎金雄理事長)を発足させており、このNPOが中心になって発泡スチロールの回収作業に当たる。