北海道稚内市からスタートし、各地でインターネット動画生放送をしながら日本を縦断していたラジオDJのモーリー・ロバートソンさんが10月28日、日本最南端の波照間島に到達し、クライマックスを迎えた。
東京のラジオ局で人気DJとして活躍するほか、ジャーナリスト・アーティストなどさまざまな顔を持つモーリーさん。そのモーリーさんがNTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)が今年7月に発表した携帯用の無線ルーター「Personal Wireless Router=PWR」を持って旅先からコミュニケーションを試みるプロジェクト「PWR LIVE! with Molitterプロジェクト」をスタートしたのは8月末。
PWRは無線LANや携帯電話網のどれかを自動で選択し、接続する無線ルータ。大きさは名刺ほどのサイズで、モバイルPCやスマートフォン、ゲーム機、デジタルカメラなど数々の無線LAN搭載機器に対応している。電波網がカバーするエリアであればつながるため、カフェなど特定の場所に立ち寄る必要がないのがメリット。同プロジェクトはPWRのいわば実証実験で、モーリーさんはパートナーである技術スタッフの「たらきゅうさん」と一緒にリュックに機材を詰め、町から町へ移動。時には移動する寝台列車の中から、道を歩きながら、その先々での出会いや文化、風景、生活する人々の声をリアルタイムにネット発信した。
鹿児島から沖縄本島を経由して今月27日に石垣島入りし、28日に船で波照間島へ。そして風吹きすさぶ「日本最南端の碑」の前から約1時間、生中継して日本縦断を達成した。「最北端と最南端を経験できて感慨深い。実は心の整理ができていない」とモーリーさん。当初は九州で引き返す予定だったが、PWRと同時に活用したミニブログ「Twitter(ツイッター)」に寄せられたファンの声で急きょ決めた沖縄への旅だった。
アジア各国を旅しているモーリーさんだが、沖縄に来たのは初めて。「想像を超えていた。パンフレットでしか見たことがなかったが、白い砂浜、透明な水、熱帯魚が泳ぐ姿に驚き。太陽の感じが東南アジアに近い」と笑顔で語る白い肌は、日焼けで真っ赤。
だがリゾート気分だけではなかったようだ。「照り返しでパソコンの画面が全く見えず、音楽の調整もできなかった。電波も途切れながら、何とかつながった感じ。機材の面からすると、波照間が一番の難所だった」という。「海はきれいだけど、打ち付ける波が強い。機材にしても自然にしても、太刀打ちできない感じが離島であることを感じさせた」と振り返った。
同プロジェクトは10月31日で終了。ラストは東京で迎える。旅の様子は同プロジェクトのサイトで過去の動画や写真と一緒に見ることができる。