八重山古典民謡保存会教師で唄者としても活動する大浜安則さんが、初めてのCD「やいま歌の響(ひびき)」をリリースした。
大浜さんは竹富町新城島出身。父の良光さんは島の行事で欠かすことのできない地謡(じかた=伴奏者)の一人で、大浜さんは父の三線を聞きながら育った。21歳の時に大底朝要研究所に入門。その後、着実に腕を磨き、1989年に八重山古典民謡コンクールで最優秀賞を受賞、1994年には石垣市主催の「とぅばらーま大会 歌唱の部」でチャンピオンに輝いた。その後、竹富町主催「でんさ節大会」「小浜節大会」でともに最優秀賞を受賞するなど数々の受賞歴を持つ。現在は鈑金塗装の会社を経営しながら、自身の研究所で後継者を育成。各種イベントにも出演して歌声を披露したり、踊りの地謡としても活躍している。
CDには「鷲ぬ鳥節」「まるまぶんさん節」「安里屋節」など、耳なじみのある18曲を収録。師匠である大底氏監修のもと3年かけて構想を練り、納得いくまで歌い込んだ。大浜さんは「唄者として、地謡として充実している今を残しておきたかった」とCD発売への思いを語る。「本土でも三線を習う人が増え、八重山民謡が歌われるようになった。そうして広まるほど、歌に込められた思いや本質を八重山にいる者が八重山から発信していかなければならないと感じる」とも。
「歌えば歌うほど奥深さに引かれ、魅力は尽きることがない」という八重山民謡の中で、最も歌の力を感じるのは「とぅばらーま」と大浜さん。「とぅばらーま」は八重山民謡を代表する叙情歌で、人の心を写し出す格調高い旋律は、唄者を志す人が最もあこがれる曲の一つとなっている。「とぅばらーまに出会い、自分の人生観が変わった。この歌を自分で表現できるようになることが目標だった」と思い入れも深い。「とぅばらーま」は歌う人それぞれが思いを込めた詞で歌い上げるが、今回のCDでは県無形文化財八重山古典民謡保持者で同保存会名誉会長の大浜安伴氏が芸道精進の深い思いを込めて作った歌詞で歌っている。
大浜さんは「若い世代にも『歌いたい』と思ってもらえるような感動できる歌を歌っていきたい。八重山にかかわりのある人にCDを聴いてもらいたい」と話す。
価格は2,500円。映像工場(TEL0980-83-7403)で取り扱っている。